ジョーンズ自由州4原則を歴史遺産に! 「ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男」

 九条小夜子(以下九) 君もマシュー・マコーヒーを飲んでステッカーをもらおう!
 豊橋ミケ(以下猫) !? 小夜ちゃん、突然何をいい出すんだにゃ?
  先月25日に新宿武蔵野館で「ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男」を観てきたのよ。その時、見つけたのがこれ。

マシュー・マコーヒー

  ああ、ヒューマントラストシネマにゃんかでよく観る映画関連メニューだにゃ。
  それでもらったのがこれ。

マシュー・マコーヒーステッカー

  どんな味だったにゃ?
  甘かったよ。
  マシュマロ入りにゃら当たり前だにゃ。もっと詳しく!
  それがねぇ……上手くいえないのよ。砂糖ともはちみつとも違う甘さで、ココアとも違う気がするし……。
  言葉で味を表現するのって難しいにゃあ。でも「ニュートン・ナイト」ってあんまり聞いたことにゃいにゃ。
  本場アメリカでも知らない人の方が多いみたい。だからか日本じゃ単館公開なんだよね。力作だからもったいないと思う。
  それにしても池袋文芸坐といいこのステッカーといい、マシュー・マコノヒーにはミニシアターの人の創作意欲を刺激する何かがあるのかにゃあ?
  「俺、マシュー・マコノヒー Part3」があるとしたら間違いなくセレクトされるだろうね。
  他の三作品は?
  「マジック・マイク」は定番として、ウチとしては「U-571」や「リンカーン弁護士」、「キラースナイパー」が観たいとこだけど、実際にやるとしたら「ダラス・バイヤーズクラブ」に「インターステラー」か「ウルフ・オブ・ウォールストリート」かな。
  え~、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」ってディカプリオの先輩役でちょっとしか出てにゃいにゃ。
  でもインパクトは主役をはった「追憶の森」よりも強かったよ。胸を叩くシーンなんてボンゴマンの本領発揮だよね。
  まだいうか。
  「ニュートン・ナイト」に話を戻すね。南北戦争の最中、衛生兵のニュートン・ナイトの所に甥のダニエルがやって来る。実はダニエルは徴兵され、不安から部隊を脱走し、親戚のニュートン・ナイトを頼って来たんだ。でもニュートン・ナイトに会えたのはいいが、ダニエルは敵の弾を受けて死んでしまう。
 ダニエルって象徴的な存在なんだよね。劇中でも言及されているけど、南部では20人の奴隷を抱える農場主の長男、40人以上の奴隷を抱える農場主の息子達は全て徴兵を免除されていたんだ。
  金持ちの息子は特別扱いってわけだにゃ。
  当時の南部の主産業は綿花栽培で、奴隷を働かせることで人件費を抑え、莫大な利益を得ていたんだ。北部の主張する奴隷解放はそれを台無しにするもの。
 でも南部の皆が綿花栽培で利益を得ていたわけじゃない。現代のアメリカだって皆が皆金融業やらITやらで儲けているわけじゃないでしょ? 金融だって末端の人間は厳しい。綿花栽培や奴隷制度も同じで、利益を得ていたのはごく少数の人間だった。
 「ニュートン・ナイト」で描かれる南北戦争は南部の特権階級の利益を守るための戦いなんだ。
  ダニエルはその犠牲ににゃった貧しい南部人の代表にゃんだにゃ。
  そう。利益を受ける特権階級の息子達こそ最前線で戦うのがスジなのに実際には貧しい家の子達が消耗品の如く扱われ、戦死していった。
 これは南北戦争に限った話じゃない。石油利権を目当てに大量破壊兵器があるって嘘ついて起こしたイラク戦争で死んだのは石油利権とは無縁の人達だった。
  イラク戦争の方がタチが悪いにゃ。
  ダニエルは金のための戦争で死んだ全ての人の象徴かもしれないね。
 ニュートン・ナイトはダニエルの遺体をミシシッピ州ジョーンズ郡の家族の元に届けるために軍を脱走した。
 ジョーンズ郡にたどり着き、ダニエルの遺体を家族に渡したニュートン・ナイト。そこで彼が見たのは衣服や農作物を根こそぎ持って行く南軍の過酷な徴収だった。
  金持ちは徴兵免除にゃのににゃあ……。
  貧しい人達の窮状を見かねたニュートン・ナイトは徴収に来た南軍兵士を銃で脅して追い帰す。脱走兵という事もあり、ニュートン・ナイトは妻子を残し、沼地へ逃亡する。その沼地で逃亡奴隷や彼と同じ脱走兵と会い、彼らと組んで南軍の追手と戦うようになる。南軍から徴収された物資を奪い返すなどしているうちにニュートン・ナイトらの勢力は大きくなり、やがてジョーンズ郡の半分を占領するようになり、ついにはジョーンズ自由州を名乗るまでになった。
 ここで惜しいのは彼らが本格的な独立を目指していたわけではない事。
  いや、それは無理だにゃ。
  現実的に考えればミケのいう通りなんだけどね。
 南北戦争終結後、ジョーンズ自由州の面々は解散したが、黒人達が真の自由を得たわけではなかった。
 劇中何度か1950年代の裁判シーンが挿入される。これはある男性と白人女性との結婚を違法とする裁判なんだ。実はその男性はニュートン・ナイトの子孫なんだ。見た目は白人だけど、ニュートン・ナイトと黒人女性との間にできた子供の子孫なので黒人と見なされ、当時の法では白人との結婚を禁じられていた。南北戦争黒人差別が解消されたわけじゃないんだ。
 現代にいたるまで黒人差別が続いているのは警官による黒人殺害事件が相次いでいる事を見れば明らか。
 暗殺されたリンカーン大統領の後を継いだジョンソン大統領は黒人に土地を与えるという約束を反故にした。それだけじゃないよ。契約労働に偽装した奴隷労働は依然として残っていたし、KKKによるリンチも横行していた。黒人の政治参加も許されなかった。映画の後半は勝利した北軍が解放者にならず、南軍同様黒人差別を続けた事を糾弾していく。
  だったらその50年代の裁判シーンは要らにゃいんじゃにゃいの?
  黒人の尊厳という点では重要なシーンなんだよ。それを守るために子孫の男性は南北戦争後のニュートン・ナイトと同じ選択をする事になる。
  そうにゃんだ……。
  ニュートン・ナイトらはジョーンズ自由州立ち上げに際し、ジョーンズ自由州4原則なるものを作る。下の画像がそれ。

ジョーンズ自由州4原則

  1.貧富の差を認めない。にゃんて現代にこそ必要にゃ原則だにゃ。
  ミケもそう思うでしょ? ジョーンズ自由州4原則は現代にも充分通用する内容なんだ。それって裏を返せばウチらは南北戦争の頃からさほど進歩していないって事だよね。むしろ森友学園絡みの報道を見ると退化に向かっているのかもしれない。
 イギリスのEU離脱には移民問題が絡んでいらし、移民排斥を訴える極右政党がヨーロッパ各地で勢力を伸ばしている。さらにアメリカのトランプ政権は白人至上主義を掲げ、イスラム諸国からの入国を禁止し、メキシコ国境に壁を作ることに固執している。
 「ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男」は監督のゲイリー・ロスが10年以上前から始めていたプロジェクトなので、このタイミングでの上映は偶然なんだろうね。でもトランプ政権や極右政党による排外主義政策が続く限り「ニュートン・ナイト」のような人種と自由を求める映画はどんどん作られ続けるはず。その意義はとても大きい。
 残念なのは日本の配給会社がその意義をどれだけ理解しているか疑わしいところ。くり返すけど「ニュートン・ナイト」みたいな力作が単館公開する辺り、理解していないんじゃないかって気がする。
 最後に再びマシュー・マコノヒーに話を戻すね。実はマシュー・マコノヒーって実際のニュートン・ナイトによく似てるんだ。

ニュートン・ナイトの肖像

  細かいところはぼやけていてわかりにくいけど確かに似てるにゃ。
  ウチは「ガンジー」のベン・キングズレーに匹敵するそっくりさんだと思うな。


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テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

tag : ニュートン・ナイト マシュー・マコノヒー 黒人 差別 トランプ 格差 南北戦争

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