リアルだけどリアルじゃない 「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」

 九条小夜子(以下九)豊橋ミケ(以下猫) 新年明けましておめでとうございます。
 旧年中は当ブログを閲覧していただき誠に有難うございました。本年もよろしくお願いいたします。
  さて、ベスト&ワーストの話なんだけど……。
  おいおい! 一昨日やったばかりだにゃ!
  もちろん今2017年のベスト&ワーストを決めようっていうんじゃないよ。今回のお題の映画「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」を去年観ていたらベストの内容が変わっていたんじゃないかって思ってさ。
  そんにゃによかったの?
  うん。ウチは2016年には間に合わなかったけど、映画誌のベスト10には入るんじゃないかな。
 昨年紹介した「ドローン・オブ・ウォー」と同じくドローンを扱った映画なんだよね。
 「ドローン・オブ・ウォー」がドローンの操縦士の視点で進むのに対し、「アイ・イン。ザ・スカイ」はドローンに指示を出す軍上層部を中心にした群像劇になっている。
 「ドローン・オブ・ウォー」では一エピソードに過ぎなかった民間人がまきぞえになるケースだけで一本の映画にしてしまった点も好対照だね。
 米英が共同でケニアのある地域にイスラム過激派のアジトに大物が潜伏している事を突き止める。最初は捕獲作戦だったんだけどそこは武装勢力が支配している場所で、部隊を送り込む事は不可能。さらに潜伏先には自爆テロに使う爆弾とその志願者もいた。
  何とかしにゃいと大変だにゃ。
  そう、放っておけば多数の死者が出るかもしれない。そこで当初は空からの情報収集に使っていたドローンで空爆しようとするんだけど、折悪しくアジトの前で少女がパンを売り始めちゃう。
  空爆って事は……。
  うん、少女がまきぞえになる可能性が高い。だから少女一人を救って自爆テロを許すか、一人の少女を犠牲にしてでも自爆テロを防ぐかで上層部は議論になる。人道的な問題だけじゃない。武装勢力は少女の死を利用して米英の非道さをアピールする事も考えられる。その逆もありえる。
  その逆?
  米英が自爆テロの死者を利用して武装勢力に対する攻撃を正当化するのよ。いかに相手のイメージをダウンさせるかって事も入ってくるの。
 結局、彼らだけでは結論を出せず、イギリスの外務相やアメリカの国務長官らの判断を仰ぐの。
  にゃんか「シン・ゴジラ」みたいだにゃ。
  前半が保身や法律に縛られ迅速な行動ができない日本の縦割り行政を風刺しているって話題になったけど実はイギリスもそんなに変わらないみたい(笑)。むしろ少女が犠牲になるかもと言われても躊躇せず攻撃を支持するアメリカの方が怖い。
 少女を助けるべく現地の協力者にパンを買い占めさせるなど手は尽くすものの失敗に終ってしまう。さらにアジト内に潜り込ませていたカナブン型ドローンのバッテリーが切れて中の様子がわからなくなってしまう。
  カナブン型ドローン?
  本当に出てくるのよ。カナブンそっくりの外見でカメラが仕込んであって、虫と同じく羽根ではばたいて飛ぶの。携帯ゲーム機の改造か、それを模したコントローラーで操縦するんだ。他にもハチドリ型のドローンも出てたよ。
  ……それ本当にあるの?
  正直、ウチも本当かなぁって思う。でもまぁ仮に嘘だとしても映画の価値を下げるわけじゃない。
  スパイ映画にゃんか「ねえよ、それ、絶対!」ってアイテムが出てくるもんにゃ。
  荒唐無稽なスパイアクションと「アイ・イン・ザ・スカイ」を同列に並べるのもどうかと思うけどミケのいいたい事はわかる。
 着弾地点をずらし、少女が爆発に巻き込まれる確率を45%にまで抑え、ついに空爆実行!
  それから?
  続きはウェブで!
  いや、これがウェブだから。
  さすがにウチがここから先をいっちゃまずいでしょ。一応上の方にネタバレありって書いてあるとしてもさ。
ウチの紹介だと小難しい政治劇みたいに感じられるかもしれないけど実際はスパイ映画みたいなシチュエーションが多くてサスペンスとしても楽しめるんだ。
  「ドローン・オブ・ウォー」よりはかなりエンタメ色が強いんだにゃ。
  そういう事。
 ラスト、武装勢力の男達はある事をするためにジープから機関銃を外す。米英の軍人達がした事と好対照になっていて興味深かった。また英軍の将軍の一人が孫に贈るおもちゃを買うエピソードが冒頭とラストに挿入されていて、これまた強く印象に残った。
  小夜ちゃんの話をきいていると「ドローン・オブ・ザ・ウォー」と作劇こそ違うけどドローンの活躍する現代の戦場をリアルに切り取っているにゃ。でもドローンの是非にまでは踏み込んでいにゃいように見えるにゃ。
  そう、その通り。ドローンの是非という点では「アイ・イン・ザ・スカイ」はもはや当たり前のものになっている感があって、「ドローン・オブ・ウォー」の方が踏み込んでいるように感じられた。あの時にもいったけど自動化の流れはもう止めようがないし、そもそもドローンが無ければ自爆テロはおろか過激派幹部がいる事も特定できなかった。当然自爆テロは阻止できないわけで、その場合は多くの死者が出ていたはず。ウチのドローンに対する考えは「ドローン・オブ・ウォー」の時と変わってない。
  確かに地上部隊じゃアジトに近づく前に逃げられちゃうだろうにゃあ。
  「アイ・イン・ザ・スカイ」はドローンによる戦争を描いているけどそれ以上でも以下でもない。映画の面白さでは「アイ・イン・ザ・スカイ」の方が上だと思うけど、ドローン戦争の現実って点じゃ「ドローン・オブ・ウォー」の方が上かもしれない。
  え、何で?
  だってさ、過去に報道されたドローンによる誤爆の記事を思い出してみてよ。とても民間人をまきこむことをためらっているようには見えないでしょ?
  ちょっと怖いにゃ。
  ちょっとどころじゃないよ。組織からの支援や支持を受けていないホームグロウンのテロリストがいる事を考えると「アイ・イン・ザ・スカイ」は遠い国の話とは限らないかもしれないよ。
  ち、地上部隊があるにゃ……。


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テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

tag : ドローン アイ・イン・ザ・スカイ 戦争 テロ イスラム過激派

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