二兎を追う者は一兎をも得ず  「美女と液体人間」

 豊橋ミケ(以下猫) 東宝変身人間シリーズの嚆矢とにゃったのが「美女と液体人間」。先日、日本映画専門チャンネルでやっていたのを観たんだけど、小夜ちゃんはどうだったかにゃ?
 九条小夜子(以下九) 「美女」は余計だったね。
 怪奇とお色気の両方でお客のハートをがっちりつかもうって魂胆だろうけど、結果は中途半端でどっちのファンにも物足りない内容になってしまった。
  本当に小夜ちゃんは3Dには厳しいにゃあ……。
  映画のメインは誰が見ても液体人間じゃない。実際、話は液体人間の解明で進んでるんだし。美女の部分である夜の街やギャングの暗躍は添え物、ううん、夾雑物でしかない。
  それはいいすぎにゃんじゃ……。
  ミケ、ギャング達が何をやろうとしていたか覚えてる?
  麻薬の密売だったかにゃあ……。
  ウチもそう思う。でも劇中、佐藤充演じる内田が他のギャングとつるんで何かを進めている描写があったじゃない。
  そうそう。でも液体人間がつなぎの男を殺すわ、警察が踏み込んでくるわでおじゃんににゃっちゃった。
  液体人間の登場で捜査が後回しになっちゃって、ギャング達がどうなったのかわからずじまい。
  でもリーダー格の内田は逃走中に液体人間に殺されちゃったにゃ。
  トップが死ねば組織が壊滅するってのはアニメや特撮ヒーローものだけの話だよ。あの後誰かが跡を継いで話を進める可能性だってあるんだし、そもそも内田が本当にボスだったのかどうかも怪しい。
 とまあこんな具合で美女やギャングの部分はとってつけたような感じになっちゃってるんだよね。ここを削って、その分液体人間の描写にまわせばよかったと思うんだ。
 例えば液体人間はキャバレーの歌手千加子の周りに頻繁に現れるんだけど、それは何故かっていうと彼女は三崎というギャングの情婦で、彼は液体人間に襲われていたからなんだ。
  え、三崎って食われたんじゃにゃいの?
  何いってんの、ミケ。劇中、ガマガエルを使った実験で液体人間に襲われた人間は液体人間になる事が証明されていたじゃない。肉体も精神も変わってしまったけど、人間だった頃の記憶が少しは残っているからそれが行動に影響を与えるっていう博士の説明もあったでしょ。
  あ~、そういえば……。
  この設定は液体人間の行動を説明する以上のものじゃないから忘れちゃうのも無理ないか。何せ劇中の誰も何故千加子の周りに何度も液体人間が現れるのか不思議に思わないんだから。
 液体人間の描写からは何の精神性も何も感じられない。食虫植物のよう機械的に人を襲っているように見える。 これじゃ三崎の情婦への執着が残っているといわれてもピンとこないよね。
  せめて千加子に対してだけ特別な反応を見せるとかいうシーンがあればにゃあ……。
  千加子がこの液体人間は三崎なのでは? って思ったりするシーンがあれば悲恋物語という側面ができて、美女の存在意義もできただろうけど、そんなシーンはおろか千加子は三崎の事なんか忘れちゃったみたいなんだもんな~。
  悲しんでいるそぶりも見せなかったもんにゃ。
  三崎が一方的に惚れ込んでるだけで、千加子はギャングの三崎を後ろ盾みたいに思ってたのかもね。
  結局ただ襲われるだけのヒロインににゃっちゃったにゃ。
  損をしてるのは液体人間の方も同じ。
 液体人間はネズミ算的に数が増えるのだから短期間で数を増やした液体人間によって東京がパニックに陥るって展開もできたはずで、そうしていればもっと見応えのあるドラマになっていたかもしれない。
 液体人間って本当は生態系を脅かしかねない存在なんだ。でもギャングや千加子に尺を取られたためにその脅威は地域レベルに矮小化されてしまった。
  確かにあれじゃあ動物園から逃げ出した猛獣と変わらにゃいにゃ。
  そのくせ退治する方法は潜伏先の下水道を焼き払うという大仰なもの。設定上は無理がないんだけど、急に 話が大きくなっちゃって竜頭蛇尾ならぬ蛇頭竜尾みたいな感じ。
 とまあこんな具合でそれぞれの要素が互いに足をひっぱり合ったかのような映画になっちゃったんだ。
  その反省が名作「ガス人間第一号」につにゃがったかもしれにゃいにゃ。
  それはあるかも。
 いいと思った所は漁船のシーン。
 漁師達が漂流船を見つけるんだけど、実はそれ、液体人間によって全滅させられた漁船だったんだ。そうと知らずに乗船した漁師達も液体人間に襲われる。
 命からがら船に戻った漁師達が漂流船を見ると、甲板に燐光を放つ液体人間の姿が……。
  あのシーンは実話怪談みたいにゃ雰囲気があったにゃ。
  でしょ? 
 あそこだけはお勧めだね。





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千加子と液体人間から生まれたモンスター
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テーマ : 特撮・SF・ファンタジー映画
ジャンル : 映画

tag : 東宝 液体人間

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