追悼オールナイトのトリがこれでいいのか? 「惑星大戦争」

 豊橋ミケ(以下猫) 18日に文芸座のオールナイト「スーパーSF日本特撮映画大会 追悼井上泰幸」に行って来たんだよね。
 九条小夜子(以下九) お目当ては「妖星ゴラス」だったんだよね。山本弘が猛リスペクトしていて、自作の「地球移動作戦」はそのリメイクだと公言するほどなんだ。
 「地球移動作戦」は出てすぐに買ったんだけど、読むなら元ネタの「妖星ゴラス」を観てからって思ってね。でも近所のTUTAYAにもGEOにも置いてなくて、なかなか機会がなかったんだよね。
  オンデマンドならあるかにゃと思ったんだけど、つい後まわしにしちゃって観にゃいままに……。
  文芸座のオールナイトでやるって知って、こんな機会はなかなかないぞって事で観に行ったけど、確かに南極基地のスケール感は凄かった。劇場で観られてよかったよ。
  そういえば小夜ちゃん、VTOL機が出た時小声で「おお~」って言ってたにゃ。
  だってあれが後の科特隊のジェットビートルになるんだよ! 最初は南極基地建設要員の足程度かなって思ってたら中盤マグマと戦う場面は感慨深かったなぁ。
 ジェットビートルは転生前から怪獣と戦っていたんだね~。
  ……はいはい。


 上映前に樋口真嗣沸田洋、三池敏夫ら三大特撮監督によるトークがあったにゃ。
  そのツィートだけで事足りると思ってたんだけど、最後に凄いのがきたんだ。
  77年の東宝映画「惑星大戦争」だにゃ。
  91分の映画で2時間はツッコめるというか……。
  観る方も作る方も金をドブに捨てるような映画というか……。
  「ヤマト」を実写にして劣化させたような映画というか……。
 内容は典型的すぎる侵略もの。母星に住めなくなったので第二の故郷にするため地球を征服しようとするヨミ惑星人など設定に目新しい所はない。
  これは公開当時の目で見てもそうだったんじゃんにゃいかにゃ?
  そうかもね。
 手始めに宇宙ステーションテラを攻撃したヨミ惑星人は次に小型円盤で地球の主要都市への攻撃を開始するんだけど、その円盤のデザインの古臭さときたら……。
  まんまうつろ船
  スタッフもお釜ファイターって呼んでたくらいだから当時の目で見ても古臭く見えたんじゃないかな。
 和風な異星人なのかというとそうではなく、母艦の大魔艦は何故か古代ローマのガレー船に酷似したデザイン。
  左右にオールみたいにゃレーザー砲がびっしり並んでたにゃ。
  おまけに艦首にはガーゴイルみたいな怪物の頭のオブジェが付いてて、口の部分がエアダクトになってる。
  凄いセンスだにゃ。
  ちょっと思いつかないよね……。
 変なのは外見だけじゃない。中身も相当変だった。
 たとえば捕虜を閉じ込めておく牢屋の壁にコントロールパネルがあって、ヒロインのジュンが見よう見真似で操作したら扉が開いちゃった。1度見ただけのジュンにも開けられるんだから同じ大魔艦の乗組員なら余裕で脱走できるね。
  それじゃ牢屋ににゃらにゃいにゃ。
  オートメーション化が進んでいるのかブリッジと思われる場所にいるのは司令官のヘルだけ。命令しようにも部下が一人もいないから艦の操縦やら戦闘やらを全部一人でやらなきゃならない。
  かえって負担が増してるにゃ。
  さらにブリッジには巨大な蛇のオブジェが……。そんな物置くくらいなら副官の一人ぐらいつけてやれよ。
  予備の椅子すらにゃかったにゃ。
  こんな変なブリッジにいるヘルもやっぱり変な人だった。
  何と古代ローマの鎧にそっくりにゃ恰好をしてるんだにゃ。
  尺や予算の都合もあるんだろうけど、劇中、ずっとそれで通していた。
  「惑星大戦争」というくらいだから観てにゃい人は大魔艦が何隻もあるんだって思っちゃうだろうけど、実はたった一隻。
  一隻で地球を侵略しようってんだからいい度胸してるよね。
  迎え撃つ地球も轟天一隻だからよそ様の事はいえにゃいにゃ。
  とある事情で一時建造を中断していた轟天を完成させ、大魔艦が潜む金星へと向かう。
 そこまでの見どころは樋口監督の言う通り大滝秀治。
 今から見るとローテクだけど当時はハイテク機器に囲まれた研究室も大滝秀治が一言喋ればあら不思議!
  役場にいるようにゃ気分ににゃるにゃ。
  どんなセットよりも画面を制する大滝秀治の存在感! これに対抗するにはもうセットじゃ駄目だね。ロケじゃなきゃ。それも剱岳レベルの大自然じゃなきゃ太刀打ちできないね!
  秀治さん死んじゃうにゃ!
  わざわざNASAから呼び寄せたわりには何が凄いのかわからないまま死んじゃったジミー。
 ヨミ惑星人の攻撃で死んだ家族を思い出すシーン、ありきたりなハイキング風景なんだけど、よく見ると食べ物の中にチップスタ○が……。
  皆アメリカにいたんじゃにゃかったのか~!?
  時代設定は1988年。スタッフは11年後にはチップスタ○が世界中に広まってると思ったのかなぁ。
  今だってアメリカじゃ買えにゃいにゃ!
  宇宙に出た轟天だけど、ヨミ惑星人の罠にはまり、ジュンがさらわれてしまった。開発者であり艦長でもある彼女の父滝川博士はジュンをさらった円盤を追おうとする主人公達を「今、お前達まで失うわけにはいかん」と言って止める。
  地球防衛の大義の前には親子の情といえど捨てるんだにゃあ。
  そんな事を言っておきながら、金星に着き、大魔艦の場所を確認するとなし崩し的にジュンの救出作戦をやっちゃう。ひどい事にそれで主要登場人物のほとんどが死んじゃう。
  言ってる事とやってる事が違うにゃ!
  そんなレベルじゃないよ。円盤で連れ去られた段階で追っていれば損失は少なかったかもしれないんだからね。
 ついでにいうと登場人物の最期ってどれもあっさりを通りこしておざなりな死に方なんだよね。
  皆敵に撃たれておしまい。
  V3、じゃなかった宮内洋なんか撃たれて短く悲鳴をあげておしまい。
  事務的に死体を隠すだけで涙も見せないし、次のシーンじゃ忘れてるっぽい。
  一番ひどいのは沖雅也。ジュンが救出されてめでたしめでたし、じゃあ帰投しますって反転。安心した風な表情の沖雅也のアップを挟んでから大魔艦のビームであぼーん。
  唐突にゃ最期だったにゃ。
  誰も「危ない!」とか「後ろだ!」とか言わないし、本人も何もわかんないまま死んじゃったみたいなんだよね。特攻しろとか仲間をかばえばいいってもんじゃないけど、ヒロインの婚約者だよ? 主人公の恋敵だよ? そんな重要な役のはずなのに意味なくあっさり死んじゃう。
  実際の戦闘にゃんてそんにゃもんだにゃ。
  彼も次のシーンではきれいさっぱり忘れ去られていた。これほど人の命の軽い映画は初めてだよ。
 さっき大魔艦のデザインをどうこういってたけど、轟天も負けず劣らず変な船だった。
 艦載機を射出するっていうと普通の宇宙戦艦と変わらないように思えるけど轟天はカタパルトじゃなくてリボルバー。さらにこのリボルバーはビームの発射孔も兼ねてる。
  もし間違えたらと思うとパイロットは気が気じゃにゃいにゃ。
  轟天の主兵装はビームやレーザー等の光学兵器なんだけど、スタッフはビームやレーザーが何なのかわかってないみたいで、「アクティブレーザーミサイル」って言ってピュンピュン出てくるのは青いビーム。
  実弾兵器といえば艦首のドリル爆弾と対空爆雷だにゃ。
  轟天、ヨミ惑星人の小型円盤を倒す際、後者を使っていたんだよね。後に傾いた発射筒から放物線を描いて前に飛んでいく。
  どういう構造にゃんだろ?
  呆れた事に轟天にはそれ以外の対空兵器が無い。
  対空機銃の一門も無かったもんにゃあ。
  20世紀も終盤だというのに大艦巨砲主義かよ。
 ラストは轟天と大魔艦の一騎打ち。
  互いに撃ち合うけど、装甲が硬くて火花こそ散るもののダメージを与えられにゃい。
  そんなわけで有効な攻撃方法は体当たりだった。それも艦首のドリルを使ったわけじゃなくて、すれ違った際、艦の側面でオールみたいなレーザー砲を根こそぎへし折っていくという原始的なやり方。
  宇宙にゃのに大昔の海戦みたいだにゃ。
  そもそも遠く離れた宇宙からの侵略者がガレー船みたいな船に乗ってる事がおかしいんだけど、じゃあそれまでの撃ち合いって何だったの?
 大魔艦の切り札は東宝特撮十八番のパラボラ光線砲!
  エフェクトは「モスラ」の原子熱線砲によく似てたにゃ。
  敵が使ったのって大魔艦が最初で最後じゃない?
  人類の科学の結晶ってイメージあるもんにゃ。
  最終決戦の舞台って金星なんだよね。なのに轟天も大魔艦もダメージを受けた所がメラメラ燃えている。
  酸素があるんかい! 艦内にゃらともかく艦の外では火は消えちゃうんじゃにゃいの。
  ウチの考えでは煙は出ていくと思うけど……。
 一気に追い詰められる轟天。滝沢博士はついに艦首のドリル爆弾の使用を決意する。
 博士が言うにはこの爆弾、銀河系すらふきとばしてしまうほどの威力を持っているんだって。
 そんな物を太陽系で使うな!
  人類を滅ぼそうとしているのはどっちにゃんだか……。
 まあ実際のところは博士が言うほどの威力は無かったけどにゃ。
  それでも大魔艦爆発のとばっちりで金星が爆発してしまった。
 主人公達はめでたしめでたしって喜んでいたけど、金星の破片が地球に降り注ぐかもしれないし、何より重力バランスがどうなるやら……。
  ヨミ惑星人もそこまでやろうとは思ってにゃかったにゃ。
  そりゃ移住するつもりで攻めてきたんだから環境を台無しにするような事するわけない。
 そもそもそんな強力な爆弾を使う必要があったかどうかも怪しい。
 ドリルで大魔艦の装甲を貫通できるんだから積んでいる爆弾は普通の威力のものでも充分だったんじゃないの?
 それに滝川博士はドリル爆弾に乗り込んでカミカゼアタックしてたけど、無線誘導じゃ駄目なの?
  大魔艦、妨害電波とか出してたわけじゃにゃいもんにゃ。
  ふり返ってみるとドリル爆弾、窓がどこにも無いように見えるよね。
  えーっ、カンを頼りに特攻してたのぉ!?
  その可能性はある。まあ、惑星一個ふっとばすくらいだから無理に命中させなくてもいいんじゃない?


  まさにトンデモスペースオペラだにゃ。
  ウチもこれほど凄い映画だとは知らなかったよ。
 この「惑星大戦争」をさしおいてマニアから日本一のトンデモ映画と呼ばれる「幻の湖」ってどんな映画なんだろう……。
  井上泰幸どころか特撮からも離れてるにゃ! 最後に小夜ちゃん、「スーパーSF日本特撮映画大会 追悼井上泰幸」全体の感想を。
  ヘドラ最高! あと「ゼロ・ファイター 大空戦」が観られたのはラッキーだった。あれは戦争映画の佳作だよ。キャストも豪華だし、もっと知られていてもいいと思うんだけどな
  今までの話と関係にゃいにゃ!
  えーっと、それじゃあ轟天を見たらトンデモと思え。
  こらーっ!!




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tag : 特撮 惑星大戦争 地球移動作戦 妖星ゴラス 山本弘 樋口真嗣 沸田洋

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