浅野克彦presents東京都青少年健全育成条例報告会

 九条小夜子(以下九)  最近はウチらもあまり口にしなくなった東京都青少年健全育成条例の話ですが、2010年12月の改正で終わったわけではありません。
 豊橋ミケ(以下猫) とはいうものの小夜ちゃん自身がいった通り、あたしらも含め世間の目がよそに移っちゃったのは事実にゃ。
  確かに。今年の松下玲子都政報告会でも全く話が出なかったし、審議会の議事録ももう半年以上チェックしてない。
  気を抜きすぎだにゃ。
  うう……いい返せない。そんな中、民主党の浅野克彦都議が毎月有害図書の指定を行っている都の青少年健全育成審議会の実態を明かす報告会を開いてくれました。
 事前に断っておきますが、報告会では、これが外部に広まると都がガードを固めてしまう、今まで出していた情報が出なくなるおそれがある話もあり、そういった情報についてはオフレコでお願いしたいと言われました。
 歯がゆいと思う方もいるでしょう。隠すなんて許すな、情報を出すよう求めろという意見も理解できます。しかし、結果的に情報が出なくなれば、それは規制反対派にとってマイナスだろうと考え、彼の指示に従う事にしました。
  だったら言うにゃよ。
  ちょっと、ミケ……。
  言い方は悪かったにゃ。でもさ、それじゃあ小夜ちゃんはあの場で言った事が全く漏れにゃいって本気で思ってるの?
  いや、それはないと思ってるけど……。
  どこの誰かもわからにゃい人ばっかの前で話した以上、漏れるのは織り込みずみだと思うけどにゃ。
  それはそうなんだけど、“戦犯”になりたくないってのも本音で……。
 そっ、そういうわけで、報告会で話された全てを書いたわけではありませんし、録音ではなくメモを基にしていますので、一字一句間違いなしというわけではありません。
 それでよければどうぞ。
  続きを読むをクリックにゃ!



  今回の報告会で明らかになったのは有害指定のプロセス。
 指定対象になる本は事務局が選ぶんだけど、その過程の一部がわかった。
 審議の対象になる本は事務局の人が購入するんだよね。で、リストには、例えばコンビニとか個人書店など、どんな書店で買ったかまでは書いてあるんだけど、具体的な店名までは書いてない。
  浅野都議が言うにはAmazon等の通販では買ってにゃいんだって。
  書店に行って表紙とタイトルを見て選んでるみたい。買った本が該当するかどうかの判断は事務局が行う。事務局内で意見が割れたものは審議会にあがってこないの。
  前例を作りたくにゃいんだにゃ。
  該当作品が決まったら諮問図書に関する打ち合わせ会に見てもらい、その意見をつけて審議会にかけるの。
 この打ち合わせ会は出版社による自主規制団体の出版倫理協議会の働きかけでできたもので、他に出版倫理懇話会、首都圏新聞即売委員会、東京都古書籍商業協同組合、東京都貸本組合連合会、日本フランチャイズチェーン協会が参加している。
 一番驚いたのは審議会での読まれ方。
 時間制限が無いからじっくり読めるかといえば逆で、1冊につき1分程度しかないの。
 ウチらも同じ条件で審議会に出された漫画をまわし読みさせてもらったけど、1分じゃストーリーを把握するどころか台詞も読めなかったよ。
  ある漫画のヒロインの一人が女子高生だって事、気づかにゃかったもんにゃあ。
  そうそう。後で言われて、えっ、そうだったっけ? って思って、思い出そうとしたんだけど、ヒロインの設定どころか顔すら思い出せなかった。
  指定するにあたっての基準の中に
「人格を否定する性的行為」ってのがあるんだけど、正直、あれじゃあ判断できにゃいにゃ。
 せいぜい露骨な表現かどうかだけだよね。そういうページには付箋が貼ってあるんだけど、それはあくまでもページに貼ったものであって、コマを特定できるものじゃないのよ。だから審議員が問題のコマに気づかない可能性もある。
 何よりあれじゃ絶対前後の流れなんてわからない。当然作者の意図だって読み取れないよ。
  うわべだけの判断だにゃ。
  審議員は浅野都議が異様と言う程事務局を信頼しているっていうから、事務局がいうなら間違いないって感じでやってるのかもしれない。
  それじゃ審議会の意味がにゃいにゃ。
  局部の表現だけど、ウチが見た限りではどれもきちんと修正されていた。
  中には最初から描いてにゃいと思えるものもあったにゃ。
  局部描写を除けば青年誌と大差ないものもあった。正直、ウチは有害指定する程ではないと思うな。
  小夜ちゃんが愛用しているエロ漫画にゃんか黒い棒がかかってるだけで血管とかはっきり描いてあるもんにゃあ。
  やっぱ曇った試験管みたいなのじゃ……って何いわせるの、ミケ!
 ま、まあウチらの意見はすれてるからあまり参考にならないかもね。
  ら?
  ミケだって見てるでしょーが!
 でも表現の程度よりも見過ごせない事があるの。
 実は10年末の改正以来、新基準が加わったんだよね。
  ずばり未成年とのエッチだにゃ。
  とある理由で新基準の扱いには都も神経質になっていてる。リイド社から出ている本の中に新基準に触れる描写があったんだけど、事務局は旧基準での指定にしたくらい。
  それじゃあ新基準での判断はにゃいのかっていうと、そうでもにゃいにゃ。
  事務局が旧基準で判断してくれといったのに、実態は新基準で判断されている本もあった。
 さっきもいった通り、審議会が目を通す前に出版社による自主規制団体に見せて意見を聞くんだけど、ある本は新基準に該当する場面があるのに言及されず、別の本は新基準に当たると判断している。
 当事者であるはずの出版社の人間でも新基準をわかってないんだね。
 表向きは旧基準に則ってやっているように見せかけ、水面下では新基準適用への地ならしが始まっている。浅野都議は出版社の意識の低さを嘆くと同時に新基準適用のための拡大解釈が進んでいるのではないかと危惧してるんだ。
  にゃしくずし的に新基準をスタンダードにしようとしてるのかもにゃ。


  えっと……他にいう事は…?
  アンソロジーの場合、同じ本の中に指定される作品とそうでにゃい作品が混在する事があるって事かにゃ。
  それと意外だったんだけど審議会は発禁処分は避けたいって考えてる事。
  浅野都議が犯罪の手口を細かく解説した本を発禁処分にすべきだと言ったら「そんな事は言うな!」って怒られたそうだにゃ。
  浅野都議が言うには発禁処分は戦後一度もなくて、審議会も神経質になっているんだって。ウチらの印象ではタブーに近いみたいだけど実態はわからない。
  あ、そうだ。警察庁と警視庁の違いをいってにゃかったにゃ。
  そうだったね。警視庁は法案を作る際、最低でも半年前から根回しを行い、各政党の意見を聞いて危険な箇所を削り、通しやすいものにしておくんだって。一方、非実在青少年で物議をかもした10年春の改正案を作ったのは警察庁で、事前の根回しをせず、いきなり出してきた。そのために否決されたって浅野都議は考えてる。
 さて、ここから先は質疑応答だよ。
  Aとあるのは浅野都議の回答を要約したものだにゃ。
  責任逃れっぽく聞こえるかもしれないけど、あくまでも浅野都議の考え、認識として読んでね。

 Q 規制推進派の本当の目的は何なのでしょうか? 検閲システムを作ろうとしているのではないでしょうか?
 A そう考える気持ちはよくわかります。検閲システムが作られる過程というのはえてしてそういうものです。しかし、今の日本では無理だと思っています。日本は、メディア内部等を除けば世界で最もといっていいくらい自由です。
 それに日本は言論の自由よりも金儲けで動く社会です。検閲はその規模を縮小させるだけなので財界が許しません。儲かる検閲システムができれば話は別でしょうが。
 規制推進派は感情で動いています。はっきりいってその手の表現が嫌いなだけです。そういう人が団体のトップにいます。何故かといえばそういう人は積極的に動くので出世が早いからです。
 日本が経済大国でなければ海外からの規制圧力はなかったでしょう。海外からの規制圧力は金儲けの邪魔が目的です。
 Q 規制の流れを食い止めるにはどうしたらいいのでしょうか?
 A 今の日本は国民全体が個々の声を聞こうとしていますが、その判断基準は声の大きさ。それにビジネスが絡んできます。規制をかけるとそこにビジネスチャンスが生まれます。だから規制の流れは止まりません。
 ちょっと話はそれますが、東北の被災者に会った時、彼らから「金よりも規制を外してくれ」と言われました。様々な規制が復興の足かせになっているんです。それくらい日本は規制でがんじがらめになっているんです。
 規制をかけるところがなくなってきたので表現にきたと思っています。
 できる事があるとすれば監視の目を光らせる、少しずつ味方を増やしていく事でしょう。
 原発停止のための都民投票条例の直接請求に件ですが、私は動くと考えていますが、公務員の関与を認めている、外国人、16歳以上の参加を認めている点で私は賛成できません。

  小夜ちゃん、原発の話は関係にゃいんじゃにゃい?
  そうなんだけど、大切な事だと思ったからさ。それに10年夏に都職員がPTAに行った説明会の事を思い出してよ。あいつらは国や自治体の予算が使えるからね。やっぱり公務員の参加は認めちゃ駄目よ。

 Q 規制推進派と折り合える余地はあるか?
 A 現実にわかり合う事は不可能でしょう。規制推進派を満足させる条例を作ったうえでその抜け道を作ったと考えています。
 年齢ではなく犯罪行為で判断するように範囲が広がった故に判断が難しくなり、規制する側は何が該当するのかはっきり説明しなければならなくなったのです。
 都条例の件では普通の奥様方の目が向くようになったのはいいと思っています。漫画を否定する人やヒステリックな教育ママ的な人は減りつつあり、漫画に対する風あたりは弱くなっていると思います。
 その一方で何でも公の問題にしてしまう人が増えています。都条例の話を例にすれば、書店にいえばいい事をPTAや都にいってしまう。これは警戒しなくてはなりません。
 本当に問題なのはインターネットですが、規制は不可能だと思っています。教育で対応するしかないのですが、行政は動こうとしていません。
 Q 審議会からチェックリストやメモ等は渡されるのか?
 A 一切ありません。
 Q チェックリストを作ってそれに記入する方式をとっている自治体もある。非公開でやっている所もあり、そっちの方が意見を出しやすいのでは?
 A それは知りませんでした。参考になります。東京都の審議会では反対意見はあまり出ません。扱うものが成人漫画なので、世間体などを気にしていいにくいという面があるのかもしれません。実際、優良指定の場合は結構反対意見が出ますから。ですから非公開の方が意見が出やすいという考えはわかります。
 Q 事務局は全国非公開だといっているが、埼玉、岩手はちゃんと公開しているし、傍聴もできる。
 A それは知りませんでした。傍聴できるのならなあなあの議論はなくなります。
 いつか埼玉県の傍聴をしてみたいですね。
 Q コンビニ本は指定をかけてもその頃には店頭から消えている。指定が無意味になっている。この問題を解消するため、何か新しいものを出してくるのではないか?
 A 可能性はあると思います。各社が自主努力でやってもらわないと行政が動き出すでしょう。
 現状に対しては出版社に対する警告、それを受けてコンビニが入荷しなくなる可能性はあります。
  ここで会場から同一タイトルの雑誌が連続3回、あるいは年に5回以上の指定を受けた場合、「18歳未満には売らない」という内容の帯紙を付けなければならない。帯紙を付けなければ取次は扱わず、付ければコストがかかるので、指定は無意味ではないという主旨の指摘がありました。

 Q 福岡県の暴力団に関する記事を載せた雑誌を規制する条例のように残虐行為や暴力描写に対する指定はどれくらいあるのか?
 A 過去を探せばあるのかもしれませんが、私の知る限り1冊だけです。エッチなものは判断基準がわかりやすいのですが、暴力の場合はまだそれができていません。
 Q 出版社が異議申し立てできない点についてどう思うか?
 A できるようにしなくてはと思っています。大きい所は裁判ができますが、小さい所はそうもいきません。そういう所は発行部数が少なく、指定を受ける頃には売り切っているので害はないと見る人もいます。しかし、その考えは単発ではなく続刊のあるものには通じません。また救済制度ができたとしても審議する側が真剣にやっていなければ無駄になってしまいます。一つ一つを真剣に見るという思想を審議員に植え付けなければなりません。


  浅野都議は今後もこのような報告会を続けていくつもりなんだけど、生憎外せない予定が入っているので5月は無理なんだって。
  でも6月か7月にはできるそうだにゃ。
  ウチらもできるだけ参加するつもりですが、都内在住の方も都合があうなら是非参加して下さい。
  表現規制に関心があるなら絶対退屈しにゃいにゃ!

  あっ、そうだ!
  どうしたにゃ?
  何か忘れてるな~って思ったら優良演劇ってのができたんだよね。
  小夜ちゃん、それ都条例とは関係にゃいにゃ。
  そうなんだけど、ちょっとひっかかる事があってね。
 この優良演劇、推奨されたければまず都に申請するんだよね。問題なのはこの後。推奨演劇に認定するかどうかは審議会が決めることなんだけど、そのためには審議員に観に行ってもらわなければならない。でもね、小さい劇団は公演期間が短く、1週間もやっていない事もある。
  「非実在少女のるてちゃん」は2日だったもんにゃ。
  でしょ? 審議員が団体で観に行くならまだしも、話を聞くとどうもバラバラで観に行くらしいのよ。劇団四季みたいに長期公演が可能な所はそれでもいいでしょうけど、さっきいったような小さい所は推奨どころか、その前提である観劇すら難しいし、推奨を受けたとしてもその頃には公演が終わってるって事もある。そうなると申請しても……って諦めちゃうんじゃないかな。これじゃ小劇団冷遇といわれてもしかたないよね?
  にゃんだ、小夜ちゃん、そんにゃの心配する事にゃいにゃ。
  えっ!?
  ロクに読みもしないで有害指定する人達だにゃ。芝居だってロクに観もしにゃいで推奨するに決まってるにゃ。
  ロクに考えもしないで何いってんだ!
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Re: No title

 ご指摘有難うございました。早速訂正しました。

No title

 いつも情報ありがとうございます。
 都のガードを固めないためのオフレコについては仕方ないと思います。良くも悪くもこういう情報は発言者の意図以上に拡散しやすく、また、規制派が反対活動の情報のチェックをしたり、極端な場合は2chスレなどの匿名言論の場を霍乱妨害している気配さえもあるのは私も思っていることですから。
 概して現行の有害指定のプロセスには問題も多々あれど、まだ議論によって改善できる可能性も無くはないという感じでしょうか…。
 なお、表現規制以外の諸規制の問題については、宮城水産復興特区構想のように大資本の参入に有利な規制緩和で既存の住民の生活が危機に陥る可能性もありますので、一概には言えない面もあると思います…規制を強めるにしろ弱めるにしろビジネス的な意図が厄介だと言うのは全く同感。
 原発都民投票に公務員の関与が危険なのも全く同意します。これに限らず、直接民主制というのはよほど慎重に運用しないと諸刃の剣になりますからね…。
 最後に、都の優良演劇制度への不審ももっともだと思います。弱小に不利というのもそうですが、かつてのナチス期ドイツの芸術もそうであったように、優良なものを推奨すると言うのは、優良でないとみなされたものの迫害と対になって現れる事があり、その場合「評者にとって都合のいい内容=優良」ということになりがちですから。国や自治体が優れた文化芸術を奨励すること自体にはやぶさかではないのですが、さすがに今の東京都は信用できません…。

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Re: No title

 ご指摘、有難うございます。早速訂正しました。これからも行けたら報告するつもりですのでよろしくお願いします。
 それにしても何度も推敲しているのですが……。

Re: No title

>  なお、表現規制以外の諸規制の問題については、宮城水産復興特区構想のように大資本の参入に有利な規制緩和で既存の住民の生活が危機に陥る可能性もありますので、一概には言えない面もあると思います…規制を強めるにしろ弱めるにしろビジネス的な意図が厄介だと言うのは全く同感。
 そうですね。その問題もありました。ハリケーンカトリーナに襲われたニューオーリンズでも低所得者向けの住宅だった場所がハリバートン社によって高級住宅に建て替えられ、被災者が戻れなくなったという事がありましたもんね。
 こういう事が起きないよう目を光らせる事こそメディアの役目なのですが……。
>  最後に、都の優良演劇制度への不審ももっともだと思います。弱小に不利というのもそうですが、かつてのナチス期ドイツの芸術もそうであったように、優良なものを推奨すると言うのは、優良でないとみなされたものの迫害と対になって現れる事があり、その場合「評者にとって都合のいい内容=優良」ということになりがちですから。国や自治体が優れた文化芸術を奨励すること自体にはやぶさかではないのですが、さすがに今の東京都は信用できません…。
 考えてみると優良の場合、その定義が論じられる機会がない事を考えると、青少年健全育成条例以上に恣意的なものになりかねませんね。
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