「キングコング 髑髏島の巨神」関係者の皆様、すいませんでしたーっ! #人類よ立ち向かうな  #キングコング映画

 キングコング 髑髏島の巨神

 豊橋ミケ(以下猫) 謝罪から始めたのは前にもあったけど、タイトルが謝罪にゃのは初めてじゃにゃいかにゃ?。
 それにしても小夜ちゃん、「応募してないんだけど……」じゃ観に行くのやめよっかにゃ~みたいにゃ事いってたけど結局観に行ったんだにゃ。
 九条小夜子(以下九) う、うん。
  思い出したかにゃ?
  2週間経つか経たないかだからね。そりゃ忘れないよ。それに日本じゃキングコングってメジャーじゃないじゃない。
  だにゃあ。
  イオンシネマのやった事は今も問題だと思ってるよ。でもそれと映画そのものは関係ないからね。「応募してないんだけど……」じゃいい過ぎたかな~って反省してる。
 あらためて「キングコング 髑髏島の巨神」関係者の皆様、すいませんでしたっ!


  純度100パーセントの怪獣映画だったにゃあ。
  そう、ミケのいう通り怪獣以外は何もないといっていい映画だったね……ってこれけなしてない?
  怪獣バカ映画といえば……。
  ああ、それなら……ってそれいわれて喜ぶのって腹をくくった真性オタクだけだよ!
 「髑髏島の巨神」は従来の「キングコング」の島部分だけを描いたような作品だった。
  スカルクローラーはティラノサウルスやバスタドサウルスのポジションだにゃ。
  感心したのは「髑髏島の巨神」じゃ髑髏島の原住民を原始的ながら文化を持つ人々として好意的に描いている事。
  ピーター・ジャクソン版でも主人公たちを脅かす存在だったのににゃあ。
 キングコングを神と崇めている点は今まで通りだけど、生贄を捧げたりはしてにゃいんだにゃ。
  危険な野蛮人どころか友好的な隣人として描かれていた。「モスラ」のインファント島の原住民達に近いね。
 舞台はニクソンが決めたベトナムからの撤兵が始まった1973年。
  ヘリに飾ってあるニクソンの首振り人形がいいスパイスににゃってるにゃ。
  あれは印象に残るねぇ。
 印象に残るといえばタイトルロールにもなっている髑髏島。嵐に囲まれてなかなか上陸できないって設定なんだけど、そのビジュアルが「ラピュタ」の竜の巣の中に「地獄の黙示録」のベトナムを置いたって感じ。
  「地獄の黙示録」? ベトナムは島じゃにゃいにゃ。
  でもやたらと川をゆくじゃない。あれって源流は「地獄の黙示録」だよ。
 今までの「キングコング」は戦争とは無縁だったんだけど、「髑髏島の巨神」は太平洋戦争で墜落した日米のパイロットが争う中、キングコングと遭遇するシーンから始まるなど戦争が影を落としている。といってもゴジラみたいに核をめぐる葛藤とかは一切なく、ストーリーは怪獣が支配する島からの脱出に絞ったシンプルなもの。
  今までのキングコングより大きくにゃってるにゃ。
  ハリウッド版ゴジラと戦わせるための措置だね。それでも足りないけど。
  青葉クルミを食べさせるとか?
  それじゃ「ウルトラQ」のゴローだよ! そういえばゴローの着ぐるみは「キングコング対ゴジラ」のキングコングの首をすげ替えたものだったっけ。
  縁があるにゃあ。
  対戦前の根回しか14年の「GODZILLA」に出てきた組織モナークが随所に顔を出していて同じ世界の話だって事を印象付けてる。
  東京オリンピックよりこっちの方が楽しみだにゃ。
  ウチもだよ。
 あと、ピーター・ジャクソン版では巨大なゴリラだったけど、「髑髏島の巨神」のキングコングはゴリラではなく猿人なんだね。常に直立歩行で、ナックルウォークはしない。既知の生物が巨大になっただけではないって事だね。
  それもやっぱりゴジラとの対戦を意識しての事かにゃ?
  だと思うよ。でもあれじゃ大きすぎて人間とは絡みづらい。だから従来の「キングコング」が核にしていた“美女と野獣”的な要素は皆無に等しい。
  そんにゃ事にゃいにゃ。ヘリコプターの下敷きになっていた巨大水牛を助けようとしたのを見てから「髑髏島の巨神」のヒロインもキングコングにとって特別な存在ににゃっていたにゃ。
  どうだろう? ミケは特別というけど、ウチは変わった人間程度の認識なんじゃないかなぁ。
  でもキングコングは明らかにヒロインを守っていたににゃ。
  確かに。ただそれが過去作のような心境によるものか、ウチは疑問に思っている。
 この点、キングコングってゴジラとは好対照だよね。
 昭和ゴジラでは明らかにゴジラが子供を助けるシーンがあるけど、あれはシリーズを重ねるにつれヒーロー化した結果。最初のゴジラは足元の人間なんて気にもかけない超然とした存在なんだ。それはギャレス版ゴジラにも受け継がれている。
  でもゴールデンゲートブリッジやムートーとの戦いでは子供や主人公を助けてるにゃ。
  確かにミケのいう通りだけど、映画では結果的にゴジラが助けたように見えるよう描かれている。ゴジラが人間を意識しているかどうか、映画だけでは断言できないんだ。
 同じ神と見なされる存在でもゴジラは戦争や人間には制御できない自然の体現者であり、超越的な存在として描かれるキングコングはずっと身近な存在。
  自然の不思議って感じだにゃ。
  そう。巨大とはいえゴジラと違ってキングコングはウチら人類の延長線上にいるんだ。
  超能力とか持ってにゃいもんにゃ。
  だからこのままじゃゴジラとの対戦では分が悪い。というか勝負にならない。
 キングコングは米兵の銃弾を受けて血を流していたけどゴジラは至近距離で戦車の主砲を受けてもビクともしなかったからね。力の差は歴然。
  落雷を受けて帯電体質ににゃるから大丈夫にゃ。
  そりゃ昭和の話だよ!
 それはさておきエンドクレジットを最後まで観ないで帰っちゃった人がいたね。
  何も知らずににゃあ。もったいにゃい。
  マーベル作品みたいに次作への“フリ”があったんだよね。で、そこで出た壁画がどう見てもゴジラにラドンやモスラ、キングギドラ。
  次は「地上最大の決戦」だにゃ。

 ゴジラ続編記事

  三匹とも飛行怪獣なんだよね。戦闘シーンが似通っちゃわないか心配だな~。
  キングギドラは陸上でも戦えるにゃ!


  それにしても松竹は太っ腹だねえ。
  何でにゃ?
  だってゴジラって東宝のキャラ、それも看板キャラでしょ? 手放すと思う?
  確かにそうだにゃ。それじゃ「ゴジラ対キングコング」は……。
  譲歩しても共同配給だよね。
  松竹は東宝が配給する映画の宣伝をやっちゃったんだにゃ~。
  お気の毒様だね。


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応募してないんだけど……

 九条小夜子(以下九) ミケ、一昨日こんなのが来たんだけど……。

「キングコング」試写会招待状

 豊橋ミケ(以下猫) ん~? 「キングコング 髑髏島の巨神」試写会招待状じゃにゃいか。小夜ちゃん、これ、観たがってたよにゃ。よかったにゃあ。
  いや、それが16日の夜って前から予定が入っていたからウチ、行けないのよ。
  あたしだって行けにゃいにゃ。
  それにね、これが一番の問題なんだけど、ウチ、応募してないのよ……。
  えっ!?
  試写会に行けない事は前からわかってたからね。
  じゃあにゃんで……。
  ウチも「えっ、何で!?」って思うよ。で、推測に過ぎないんだけど、応募者がめちゃくちゃ少なかったんじゃないかな。
  何でそう思うにゃ?
  そうじゃないなら応募した人に送らないで応募してないウチらに送った事になっちゃうよ。
  う~ん、担当者頭おかしいにゃ。
  そんな人間、映画業界どころかどこ探したっていないよ。
  小夜ちゃん、つい最近もイオンシネマ試写会に応募してたにゃ?
  うん。「暗黒女子」ね。

暗黒女子試写会

  その応募用紙が「キングコング」にまぎれ混んじゃったんじゃにゃい?
  それはない。だってウチが応募した頃には「キングコング」はとっくに締め切りになっていて、応募用紙が撤去されていたからね。それにイオンシネマ試写会の応募用紙って住所氏名を書き込む欄の上にその映画のメインビジュアルが載ってるんだよね。だから「キングコング」と「暗黒女子」を間違えるとは思えないし、「暗黒女子」にそんな凄い顔の人は出てないよ。
  担当者がもの凄く目の悪い人かもしれにゃいにゃ?
  そんな人じゃ宛先を打ち込めないよ。
 それにウチの経験からいうと試写会の招待状ってだいたい1週間ぐらい前には届いてるものなんだ。でも今回は2日前。これだけでも何かあるなってわかるよ。
  そっかー、じゃあやっぱり応募者が足りにゃかったんだにゃ。
  ウチはその可能性が一番高いって思ってるよ。
  キングコングって日本人からしたら単にゃるでかい猿だもんにゃあ。
  だよねー。ミサイルでも殺せない大怪獣を見た後じゃ見劣りするよねぇ。
  ギャレス・エドワースの「GODZILLA」の便乗映画みたいにゃ感じがするし。
  それはどうかっていいたいけど「GODZILLA」のヒットがなかったら制作されなかったろうな~。
  でもどうしてあたしらの住所を知ってたのかにゃ?
  イオンシネマの試写会には前にも応募した事があるからね。ウチらの住所を知っていても不思議はない。あ、先にいっとくけどウチらが住んでる賃貸マンションに同じ名字の人はいないよ。
  知ってるにゃ。でも何であたし達にゃんだろ?
  イオンシネマにはよく行くけど従業員に知り合いがいるわけじゃないんだよなぁ。多分招待状が来たのはたまたまで、向こうにしてみたら誰でもよかったんじゃないかな。
  来るにゃら素性は問わないんだにゃ。
  その映画が観たいかどうかって事もね。これ、応募した人に失礼じゃない?
  でもまあよかったにゃ。
  いや、だから16日は行けないんだって。だからもらってもしょうがないどころかむしろ腹立たしい。
  送るにゃってこと。
  そうだよ。前売券ならともかく試写会の招待状じゃ都合が合わなきゃどうしようもないじゃない。これが興味も何も無い作品ならまだしも観たい映画なのに観れないってどういう感じかわかる?
  ……おあずけ?
  蛇の生殺しだよ。
  誰かにあげる?
  急だからなー。それに応募した試写会ならともかく今回の場合は街を歩いていたらいきなり見ず知らずの人に「タダでいいからこれ配って!」って言われてチケットを押し付けられたのと同じでシャクなんだよねー。
いや、ウチだってイオンシネマに悪気があったとは思ってないよ。でもさ、これはやっちゃ駄目だよ。
  でもさ、都合があえばタダで映画を観られたわけだし、ラッキーじゃにゃいの?
  応募してないのに招待状をもらえた人はね。じゃあ応募した人は?
  気分よくにゃいにゃあ。
  でしょ? 応募者が足りないなら足りないでそういう映画なんだって受け入れるか、追加募集すればいいんだよ。
 イオンシネマが何枚招待状をばらまいたか知らないけどさ、その結果、思った以上に人が集まって、せっかく来たのに入れない人が出たらどうするつもりなの? 試写会って普通の上映とはわけが違うからね。早く観られるチャンスってことで東京都以外からも来る事がある。稀なケースだけどね。そういう人を「満席なので入れません」って言って帰すの? 招待しといてさ。「公開されたらこれで観てね」ってチケット渡せばすむ話じゃないと思うよ。
  がっかりにゃんてレベルじゃにゃいかもにゃあ。
  そんな経験したらもう二度と試写会に応募なんかしないと思うよ。
 映画にとってもマイナスだよ。こんな事されたら「『キングコング』ってこんな事しなくちゃいけないくらいダメな映画なんだ」って先入観を植え付けられちゃう。
  公開前から人気にゃら応募者が少にゃいって事はにゃいもんにゃ。
  今回の件のインパクトは強いからね。時間が経っても劇場に行けばウチは必ず思い出しちゃう。
  「あ、試写会に全然人が集まらにゃかった映画だ」って感じかにゃ。
  そうそう、まさにそんな感じ。
  でも観るんだよにゃ?
  正直、わかんなくなった。だって今、「もしかしたらつまらない映画かも」って本気で思い始めてるもん。
  え~。
  イオンシネマは試写会ってのは招待状を出したらそれで終りって思ってるんだね。来ようが来るまいが関係ないんだ。応募してない人に送るってそういう事だよね。
  そうにゃるかにゃあ……。
  なるでしょ。試写会に応募しないって事は存在を知らないか、興味が無いか、スケジュールの都合で行けないって事なんだから。
 そうじゃないなら「お前の映画の好みなんて知ったこっちゃない。送ったんだからとにかく来い」って事になる。
   映画の押し売りだにゃ。
  いろいろいっちゃったけど大丈夫かにゃ?
   もうイオンシネマの試写会は当たらないかもね。でもウチはいいたい事をいえたからそれでも構わないけど。


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ジョーンズ自由州4原則を歴史遺産に! 「ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男」

 九条小夜子(以下九) 君もマシュー・マコーヒーを飲んでステッカーをもらおう!
 豊橋ミケ(以下猫) !? 小夜ちゃん、突然何をいい出すんだにゃ?
  先月25日に新宿武蔵野館で「ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男」を観てきたのよ。その時、見つけたのがこれ。

マシュー・マコーヒー

  ああ、ヒューマントラストシネマにゃんかでよく観る映画関連メニューだにゃ。
  それでもらったのがこれ。

マシュー・マコーヒーステッカー

  どんな味だったにゃ?
  甘かったよ。
  マシュマロ入りにゃら当たり前だにゃ。もっと詳しく!
  それがねぇ……上手くいえないのよ。砂糖ともはちみつとも違う甘さで、ココアとも違う気がするし……。
  言葉で味を表現するのって難しいにゃあ。でも「ニュートン・ナイト」ってあんまり聞いたことにゃいにゃ。
  本場アメリカでも知らない人の方が多いみたい。だからか日本じゃ単館公開なんだよね。力作だからもったいないと思う。
  それにしても池袋文芸坐といいこのステッカーといい、マシュー・マコノヒーにはミニシアターの人の創作意欲を刺激する何かがあるのかにゃあ?
  「俺、マシュー・マコノヒー Part3」があるとしたら間違いなくセレクトされるだろうね。
  他の三作品は?
  「マジック・マイク」は定番として、ウチとしては「U-571」や「リンカーン弁護士」、「キラースナイパー」が観たいとこだけど、実際にやるとしたら「ダラス・バイヤーズクラブ」に「インターステラー」か「ウルフ・オブ・ウォールストリート」かな。
  え~、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」ってディカプリオの先輩役でちょっとしか出てにゃいにゃ。
  でもインパクトは主役をはった「追憶の森」よりも強かったよ。胸を叩くシーンなんてボンゴマンの本領発揮だよね。
  まだいうか。
  「ニュートン・ナイト」に話を戻すね。南北戦争の最中、衛生兵のニュートン・ナイトの所に甥のダニエルがやって来る。実はダニエルは徴兵され、不安から部隊を脱走し、親戚のニュートン・ナイトを頼って来たんだ。でもニュートン・ナイトに会えたのはいいが、ダニエルは敵の弾を受けて死んでしまう。
 ダニエルって象徴的な存在なんだよね。劇中でも言及されているけど、南部では20人の奴隷を抱える農場主の長男、40人以上の奴隷を抱える農場主の息子達は全て徴兵を免除されていたんだ。
  金持ちの息子は特別扱いってわけだにゃ。
  当時の南部の主産業は綿花栽培で、奴隷を働かせることで人件費を抑え、莫大な利益を得ていたんだ。北部の主張する奴隷解放はそれを台無しにするもの。
 でも南部の皆が綿花栽培で利益を得ていたわけじゃない。現代のアメリカだって皆が皆金融業やらITやらで儲けているわけじゃないでしょ? 金融だって末端の人間は厳しい。綿花栽培や奴隷制度も同じで、利益を得ていたのはごく少数の人間だった。
 「ニュートン・ナイト」で描かれる南北戦争は南部の特権階級の利益を守るための戦いなんだ。
  ダニエルはその犠牲ににゃった貧しい南部人の代表にゃんだにゃ。
  そう。利益を受ける特権階級の息子達こそ最前線で戦うのがスジなのに実際には貧しい家の子達が消耗品の如く扱われ、戦死していった。
 これは南北戦争に限った話じゃない。石油利権を目当てに大量破壊兵器があるって嘘ついて起こしたイラク戦争で死んだのは石油利権とは無縁の人達だった。
  イラク戦争の方がタチが悪いにゃ。
  ダニエルは金のための戦争で死んだ全ての人の象徴かもしれないね。
 ニュートン・ナイトはダニエルの遺体をミシシッピ州ジョーンズ郡の家族の元に届けるために軍を脱走した。
 ジョーンズ郡にたどり着き、ダニエルの遺体を家族に渡したニュートン・ナイト。そこで彼が見たのは衣服や農作物を根こそぎ持って行く南軍の過酷な徴収だった。
  金持ちは徴兵免除にゃのににゃあ……。
  貧しい人達の窮状を見かねたニュートン・ナイトは徴収に来た南軍兵士を銃で脅して追い帰す。脱走兵という事もあり、ニュートン・ナイトは妻子を残し、沼地へ逃亡する。その沼地で逃亡奴隷や彼と同じ脱走兵と会い、彼らと組んで南軍の追手と戦うようになる。南軍から徴収された物資を奪い返すなどしているうちにニュートン・ナイトらの勢力は大きくなり、やがてジョーンズ郡の半分を占領するようになり、ついにはジョーンズ自由州を名乗るまでになった。
 ここで惜しいのは彼らが本格的な独立を目指していたわけではない事。
  いや、それは無理だにゃ。
  現実的に考えればミケのいう通りなんだけどね。
 南北戦争終結後、ジョーンズ自由州の面々は解散したが、黒人達が真の自由を得たわけではなかった。
 劇中何度か1950年代の裁判シーンが挿入される。これはある男性と白人女性との結婚を違法とする裁判なんだ。実はその男性はニュートン・ナイトの子孫なんだ。見た目は白人だけど、ニュートン・ナイトと黒人女性との間にできた子供の子孫なので黒人と見なされ、当時の法では白人との結婚を禁じられていた。南北戦争黒人差別が解消されたわけじゃないんだ。
 現代にいたるまで黒人差別が続いているのは警官による黒人殺害事件が相次いでいる事を見れば明らか。
 暗殺されたリンカーン大統領の後を継いだジョンソン大統領は黒人に土地を与えるという約束を反故にした。それだけじゃないよ。契約労働に偽装した奴隷労働は依然として残っていたし、KKKによるリンチも横行していた。黒人の政治参加も許されなかった。映画の後半は勝利した北軍が解放者にならず、南軍同様黒人差別を続けた事を糾弾していく。
  だったらその50年代の裁判シーンは要らにゃいんじゃにゃいの?
  黒人の尊厳という点では重要なシーンなんだよ。それを守るために子孫の男性は南北戦争後のニュートン・ナイトと同じ選択をする事になる。
  そうにゃんだ……。
  ニュートン・ナイトらはジョーンズ自由州立ち上げに際し、ジョーンズ自由州4原則なるものを作る。下の画像がそれ。

ジョーンズ自由州4原則

  1.貧富の差を認めない。にゃんて現代にこそ必要にゃ原則だにゃ。
  ミケもそう思うでしょ? ジョーンズ自由州4原則は現代にも充分通用する内容なんだ。それって裏を返せばウチらは南北戦争の頃からさほど進歩していないって事だよね。むしろ森友学園絡みの報道を見ると退化に向かっているのかもしれない。
 イギリスのEU離脱には移民問題が絡んでいらし、移民排斥を訴える極右政党がヨーロッパ各地で勢力を伸ばしている。さらにアメリカのトランプ政権は白人至上主義を掲げ、イスラム諸国からの入国を禁止し、メキシコ国境に壁を作ることに固執している。
 「ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男」は監督のゲイリー・ロスが10年以上前から始めていたプロジェクトなので、このタイミングでの上映は偶然なんだろうね。でもトランプ政権や極右政党による排外主義政策が続く限り「ニュートン・ナイト」のような人種と自由を求める映画はどんどん作られ続けるはず。その意義はとても大きい。
 残念なのは日本の配給会社がその意義をどれだけ理解しているか疑わしいところ。くり返すけど「ニュートン・ナイト」みたいな力作が単館公開する辺り、理解していないんじゃないかって気がする。
 最後に再びマシュー・マコノヒーに話を戻すね。実はマシュー・マコノヒーって実際のニュートン・ナイトによく似てるんだ。

ニュートン・ナイトの肖像

  細かいところはぼやけていてわかりにくいけど確かに似てるにゃ。
  ウチは「ガンジー」のベン・キングズレーに匹敵するそっくりさんだと思うな。


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リアルだけどリアルじゃない 「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」

 九条小夜子(以下九)豊橋ミケ(以下猫) 新年明けましておめでとうございます。
 旧年中は当ブログを閲覧していただき誠に有難うございました。本年もよろしくお願いいたします。
  さて、ベスト&ワーストの話なんだけど……。
  おいおい! 一昨日やったばかりだにゃ!
  もちろん今2017年のベスト&ワーストを決めようっていうんじゃないよ。今回のお題の映画「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」を去年観ていたらベストの内容が変わっていたんじゃないかって思ってさ。
  そんにゃによかったの?
  うん。ウチは2016年には間に合わなかったけど、映画誌のベスト10には入るんじゃないかな。
 昨年紹介した「ドローン・オブ・ウォー」と同じくドローンを扱った映画なんだよね。
 「ドローン・オブ・ウォー」がドローンの操縦士の視点で進むのに対し、「アイ・イン。ザ・スカイ」はドローンに指示を出す軍上層部を中心にした群像劇になっている。
 「ドローン・オブ・ウォー」では一エピソードに過ぎなかった民間人がまきぞえになるケースだけで一本の映画にしてしまった点も好対照だね。
 米英が共同でケニアのある地域にイスラム過激派のアジトに大物が潜伏している事を突き止める。最初は捕獲作戦だったんだけどそこは武装勢力が支配している場所で、部隊を送り込む事は不可能。さらに潜伏先には自爆テロに使う爆弾とその志願者もいた。
  何とかしにゃいと大変だにゃ。
  そう、放っておけば多数の死者が出るかもしれない。そこで当初は空からの情報収集に使っていたドローンで空爆しようとするんだけど、折悪しくアジトの前で少女がパンを売り始めちゃう。
  空爆って事は……。
  うん、少女がまきぞえになる可能性が高い。だから少女一人を救って自爆テロを許すか、一人の少女を犠牲にしてでも自爆テロを防ぐかで上層部は議論になる。人道的な問題だけじゃない。武装勢力は少女の死を利用して米英の非道さをアピールする事も考えられる。その逆もありえる。
  その逆?
  米英が自爆テロの死者を利用して武装勢力に対する攻撃を正当化するのよ。いかに相手のイメージをダウンさせるかって事も入ってくるの。
 結局、彼らだけでは結論を出せず、イギリスの外務相やアメリカの国務長官らの判断を仰ぐの。
  にゃんか「シン・ゴジラ」みたいだにゃ。
  前半が保身や法律に縛られ迅速な行動ができない日本の縦割り行政を風刺しているって話題になったけど実はイギリスもそんなに変わらないみたい(笑)。むしろ少女が犠牲になるかもと言われても躊躇せず攻撃を支持するアメリカの方が怖い。
 少女を助けるべく現地の協力者にパンを買い占めさせるなど手は尽くすものの失敗に終ってしまう。さらにアジト内に潜り込ませていたカナブン型ドローンのバッテリーが切れて中の様子がわからなくなってしまう。
  カナブン型ドローン?
  本当に出てくるのよ。カナブンそっくりの外見でカメラが仕込んであって、虫と同じく羽根ではばたいて飛ぶの。携帯ゲーム機の改造か、それを模したコントローラーで操縦するんだ。他にもハチドリ型のドローンも出てたよ。
  ……それ本当にあるの?
  正直、ウチも本当かなぁって思う。でもまぁ仮に嘘だとしても映画の価値を下げるわけじゃない。
  スパイ映画にゃんか「ねえよ、それ、絶対!」ってアイテムが出てくるもんにゃ。
  荒唐無稽なスパイアクションと「アイ・イン・ザ・スカイ」を同列に並べるのもどうかと思うけどミケのいいたい事はわかる。
 着弾地点をずらし、少女が爆発に巻き込まれる確率を45%にまで抑え、ついに空爆実行!
  それから?
  続きはウェブで!
  いや、これがウェブだから。
  さすがにウチがここから先をいっちゃまずいでしょ。一応上の方にネタバレありって書いてあるとしてもさ。
ウチの紹介だと小難しい政治劇みたいに感じられるかもしれないけど実際はスパイ映画みたいなシチュエーションが多くてサスペンスとしても楽しめるんだ。
  「ドローン・オブ・ウォー」よりはかなりエンタメ色が強いんだにゃ。
  そういう事。
 ラスト、武装勢力の男達はある事をするためにジープから機関銃を外す。米英の軍人達がした事と好対照になっていて興味深かった。また英軍の将軍の一人が孫に贈るおもちゃを買うエピソードが冒頭とラストに挿入されていて、これまた強く印象に残った。
  小夜ちゃんの話をきいていると「ドローン・オブ・ザ・ウォー」と作劇こそ違うけどドローンの活躍する現代の戦場をリアルに切り取っているにゃ。でもドローンの是非にまでは踏み込んでいにゃいように見えるにゃ。
  そう、その通り。ドローンの是非という点では「アイ・イン・ザ・スカイ」はもはや当たり前のものになっている感があって、「ドローン・オブ・ウォー」の方が踏み込んでいるように感じられた。あの時にもいったけど自動化の流れはもう止めようがないし、そもそもドローンが無ければ自爆テロはおろか過激派幹部がいる事も特定できなかった。当然自爆テロは阻止できないわけで、その場合は多くの死者が出ていたはず。ウチのドローンに対する考えは「ドローン・オブ・ウォー」の時と変わってない。
  確かに地上部隊じゃアジトに近づく前に逃げられちゃうだろうにゃあ。
  「アイ・イン・ザ・スカイ」はドローンによる戦争を描いているけどそれ以上でも以下でもない。映画の面白さでは「アイ・イン・ザ・スカイ」の方が上だと思うけど、ドローン戦争の現実って点じゃ「ドローン・オブ・ウォー」の方が上かもしれない。
  え、何で?
  だってさ、過去に報道されたドローンによる誤爆の記事を思い出してみてよ。とても民間人をまきこむことをためらっているようには見えないでしょ?
  ちょっと怖いにゃ。
  ちょっとどころじゃないよ。組織からの支援や支持を受けていないホームグロウンのテロリストがいる事を考えると「アイ・イン・ザ・スカイ」は遠い国の話とは限らないかもしれないよ。
  ち、地上部隊があるにゃ……。


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怪獣よりも危険な「シン・ゴジラ」!? 2016年のベスト&ワースト

 九条小夜子(以下九) 今年も残すところわずかとなりました。
 豊橋ミケ(以下猫) もうわずかっていうレベルじゃにゃいにゃ! あと数分で2017年にゃ!
  それでもまだ2016年だからウチは間違った事いってないよ。
  小夜ちゃん、落ち着きすぎにゃ!
  何いってんの、ミケ。慌てたらミスを招いて時間をロスしちゃうじゃない。こういう時こそ落ち着かなきゃだよ。
  そういう事じゃにゃいにゃ!
  というわけで毎年恒例のベスト&ワースト、始まりまーす。
  はぁはぁ、まずはワースト10からにゃ。


 1 インデペンデンス・デイ:リサージェンス
 2 Mr.ホームズ 名探偵最後の事件
 3 超高速! 参勤交代リターンズ
 4 仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー
 5 バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生
 6 10 クローバーフィールド・レーン
 7 X-MEN アポカリプス
 8 アズミ・ハルコは行方不明
 9 ファインディング・ドリー
 10 シビル・ウォー キャプテン・アメリカ

 スーパーヒーローものが多いにゃあ……。
  確かにその通りだけど、ウチは決してスーパーヒーローものが嫌いなわけじゃないよ。むしろその逆で好きだよ。これはいわゆる愛の鞭ってやつね!
  でも9位の「ファインディング・ドリー」や10位の「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」は面白かったじゃにゃいか。
  ウチもそう思うよ。「ファインディング・ドリー」はピクサーが志を失ったんじゃないかって気がしたから。
  志?
  これは第一作の「トイ・ストーリー」の頃からいわれている事だけどピクサーの映画って作り手の事情を反映しているのね。前作の「ファインディング・ニモ」は子離れの話だったし。「モンスターズ・インク」は子供とどう向き合うか、その困惑をサリーとマイクに託して描いていた。でも「ファインディング・ドリー」にはそういたものは見られない。面白かったけどただのドタバタになっていた。だから苦言を呈するつもりであえてワーストに入れたんだ。
 「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」をワーストに入れたのも同じような理由。スーパーヒーローは政府の監視下に置かれるべきかというテーマをめぐる葛藤が話の核だったのに後半は復讐劇にスライドしてしまい、前述のテーマをうやむやにしてしまった。難しいとは思うし、正解なんてないのかもしれない。それでもウチは作り手側の考えた答えを知りたかった。
  「X-MEN アポカリプス」もそうにゃの?
  そうだね。ストーリーにひねりがなくて単調だったり、マグニートーの怒りがあれで鎮まるのか疑問だった事も大きいけど何より今までの「X-MEN」は差別をめぐる物語だったのに「アポカリプス」は強大な敵を倒すだけの話でしかなかった。これがワースト入りの一番の理由だね。家族を奪われたマグニートーの心情を丁寧に描いていればワーストには入れなかったと思う。
  にゃるほど。ワーストというよりは“もっと頑張りましょう”だにゃ。
  「仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー」と「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」は別だよ。この二作は本当にひどかった。
  「仮面ライダー平成ジェネレーションズ」は脚本がメチャクチャすぎたもんにゃあ。
  ゴーストが再び変身できるようになるくだりなんかホント強引だったね。
 鎧武が来るまで泊進ノ介が変身できない等レジェンドライダーに気を配っていたのには好感が持てるけど、その配慮を敵キャラにも向けてほしかった。
  何でパックマンにゃのか、何で清宮が狙われたのか全くわかんにゃいもんにゃあ。
  「ピクセル」のパクリ?
 「バットマン対スーパーマン」も脚本がひどかった。
  レックス・ルーサー、何考えてるのかわからにゃいにゃあ。
  コンプレックスがあるのはわかるんだけどね……。宇宙からの敵を示唆するシーンがあるけど、「アベンジャーズ」が第一作でやった事をもったいぶってやられてもね……。
 原作コミックを知らないとわからないシーンが多く、「マン・オブ・スティール」を観ただけじゃ完全に理解することはできない。正直、アメコミが普及しているとはいえない日本じゃ敷居の高い映画だと思う。
何でそんなシーンが多いのかっていうとおそらく続編への伏線だと思う。でも伏線が多すぎて本筋の理解を妨げているのは問題だよ。
 「ウルトラマンタロウ」や「ガメラ3 邪神覚醒」と同じくスーパーヒーローの戦いに巻き込まれた一般市民の被害って問題を取り入れた点は評価するけど、活かし切れていない。
  市民の反応ってクライマックスには関係にゃいもんにゃあ。
  その点もマイナスだね。
 6位の「10 クローバーフィールド・レーン」はにもいったけど、宣伝が映画自体を台なしにした前代未聞のケース。
  映画ファンにゃらタイトルの時点でおやっ? と思ったろうにゃ。
  それでもあの予告とポスターはないよ。サスペンスも何もあったもんじゃない。
 8位の「アズミ・ハルコは行方不明」は逆ミソジニー映画。オチのつけ方もそれでいいの?  って思っちゃう。
  地方の現実を容赦なく描いた点はいいと思うにゃ。
  3位の「超高速! 参勤交代リターンズ」は変に深刻にしちゃって前作の味を殺してしまった。
  駄目にゃテコ入れの典型だにゃ。
  今回ワースト10には入れなかったけど「グランドイリュージョン2 見破られたトリック」も前作の味を壊していた。
 第2位の「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」は肝心の事件がしょぼくて、とてもホームズが手こずる事件とは思えない。それに日本の描写が微妙なうえに無くてもストーリーが成り立ってしまう。
  栄えある第1位「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」は内容ゼロ、誰もが認める駄作だにゃ。
  前作は初めての宇宙人による侵略ってことで描写にインパクトがあったけど、「リサージェンス」では宇宙人の存在は既知のものとなっている。なのに前作の拡大再生産みたいな描写なのでインパクトは無し! 「映画秘宝」のトホホの上位に入るんじゃないかな。
 さて次はベスト10の発表だよ。


 1 残穢 住んではいけない部屋
 2 シン・ゴジラ
 3 トランボ ハリウッドに最も嫌われた男
 4 ナイトクローラー
 5 PK
 6 野火
 7 機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY
 8 日本で一番悪いヤツら
 9 64 ロクヨン 前後編
 10 ウォークラフト

  あれ、「シン・ゴジラ」が1位じゃにゃいんだ?
  でも2位だよ。決して低く評価しているわけじゃない。
 観る前はツイッターに書いた通りの不安を抱えていた。


  一般市民の視点が抜け落ちているってとこは当たってたにゃ。
  だけど「シン・ゴジラ」の場合は欠点にはなっていない。04年の「ゴジラファイナルウォーズ」で核をいい換えていたから心配していたけど、杞憂どころかむしろ核を前面に押し出していた。
  どう見ても今度のゴジラは東日本大震災や福島第一原発事故をモチーフにしてるもんにゃあ。
  だからといって反原発映画かというとそうとはいえない。もしそうならゴジラがまき散らした放射性物質の半減期がわずか数か月なんて描写はしないはずだからね。
  そういえば放射線が出ている事は描写されているけど被爆の描写は無かったにゃあ。
  核に限らずあらゆる論点に対し「シン・ゴジラ」は神経質なくらい中立であろうと努めている。
 前半部は日本の安全保障の問題点を浮き彫りにしていて緊急事態条項は必要という人達を喜ばせていたけど、第四形態になったゴジラに対し自衛隊は無力だった。それ以上に問題視すべきな事にアメリカは日本政府に何の相談も無く爆撃機を飛ばすわ、東京を核攻撃しようとするわで、アメリカの前には日本政府の意思なんて無いも同然だよ。「シン・ゴジラ」の日本はパートナーではなく属国として描かれているんだ。その事に気づいている人って結構少ないのかも知れないね。
 既に多くの人が指摘している事だけど「シン・ゴジラ」は前半と後半で大きく異なる。その境界線といえるシーンある。
 米軍の攻撃で初めてゴジラがダメージを受ける。それに応じてようやく熱線を放つんだ。ちょっと話はそれるけどなかなか熱線を出さないから「シン・ゴジラ」のゴジラは熱線を出さないのかって不安になってたんだ。
  超巨大とはいえ生物だもんにゃ。
  そう。だからリアルを追求した結果熱線はオミットってありうるとそれまで思ってたんだよ。
 この熱線、待たされた甲斐がある斬新なものだった。
 吐くまでのプロセスや収束してレーザーのようになるあたり「ナウシカ」の巨神兵を思わせるね。
  背中や尻尾からも出るのは「シン・ゴジラ」のオリジナルにゃ。
  熱線が避難のために首相をはじめとする閣僚全員を乗せていたヘリコプターを直撃し、内閣は全滅。その結果、内閣は刷新され、主人公矢口蘭堂の権限が拡大し、事を進め易くなった。
 これも多くの人が指摘している事だけど同じ乗り物に内閣全員が乗るなんて事は起こりえない。映画のような事態を避けるために分散させるものなんだ。
 内閣が健在じゃ矢口蘭堂は思うように動けない。だからリアルじゃないとわかったうえでこのような展開にしたんだと思う。
 前半の内閣が日本の現状をリアルに反映させたものなら、後半の内閣は理想に近い日本といえる。
  でもそれって裏を返せばありえにゃいってことじゃにゃいの?
  そう! 先もいった通り内閣全員が同じ乗り物に乗るなんてことはありないのだから迅速に行動する政府も嘘ってことになる。
 「シン・ゴジラ」が抱えるこの問題に対し一番厳しいのは「Real Sound」の宮台真司のコラムだと思う。そして「現代ビジネス」の辻田真佐憲の「シン・ゴジラ」評
「挙国一致し世界に実力を見せつける日本というのもまた虚構なのではないか。願望の発露といってもよい。それゆえ、本作の内容を正確に反映するならば、『願望(ニッポン)対虚構(ゴジラ)。』とでもいうべきであろう」と的確な指摘をしている。
 正直、庵野監督の意図はわからない。
  興業的成功を狙った可能性もあるにゃ。
  でもゴジラが熱線を放って内閣を全滅させた瞬間に映画は「現実(ニッポン)」対虚構(ゴジラ)」から「願望(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」にシフトしたのだけは確か。
 興行収入を考えればこの変化は正しかったんだと思う。
 最近、日本スゴイって内容の書籍や番組がヒットしているけど、それって日本人が自信を無くしている事の反証だよね。「シン・ゴジラ」の後半はリアルな対怪獣シミュレーションから自信を喪失した日本人を慰撫するものへと変わった。だからこそ大ヒットしたんだ。
  それっていけにゃい事にゃの?
  声高に非難される事ではないだろうね。でもいい事でもない。ウチが挙げた「シン・ゴジラ」論はどちらもその点を問題視している。いや、宮台真司は危険視していて、その理由にはウチも一理あると思う。
 ウチは徹頭徹尾リアルな対ゴジラ映画を観たかった。そんな映画だったらヒットしなかったかもしれないけど。
 こうした理由で第1位ではなく第2位になったんだ。瑕疵があるとはいえそれでも第2位なんだから否定しているわけじゃないんだよ。
 「シン・ゴジラ」を抑えて第1位に輝いたのは「残穢 住んではいけない部屋」。怪現象の原因をつきとめるミステリー的な筋運びのホラー映画だけど、同時に日本の都市論にもなっているのが凄い。
 第3位の「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」については「20世紀の魔女狩り」で、第10位の「ウォークラフト」は「ダンカン・ジョーンズのオーク革命」で取り上げたので割愛するね。
  「ウォークラフト」も完結してにゃいけど「バットマンVSスーパーマン」よりはマシにゃ。
  第4位の「ナイトクローラー」はスクープ映像を追うビデオジャーナリストを通じて現代メディアの病理を描いたピカレスクロマン。
  以外にゃのはインド映画の「PK」がランクインしてる点だにゃ。
  インド映画の御多分に漏れず上映時間は長かったけど、それを感じさせなかった。何より宗教否定ともいえる展開をよくインドでやれたなって思う。
 主人公PKは実は宇宙人。彼は地球に来て早々、宇宙船のコントロール装置を盗まれてしまった。コントロール装置を探すうちに彼はいろいろな宗教に出会い、信者の話を聞くうちに神様を見つけて、彼に相談すればコントローる装置を取り戻せると思い込む。PKの信仰心皆無の神様探しはやがて宗教の矛盾を指摘する運動に発展するんだよ。観ていてワクワクしたね。
 第6位の「野火」は大岡正平の小説を塚本晋也が映画化。去年の公開作品だけどウチが観たのは今年だったので。戦場の理不尽に追い詰められた男達の狂気に圧倒されたよ。お勧めを超えて必見の一本だね。
  「ナイトクローラー」も去年の映画だにゃ。
  うん、去年の映画だった、観なかったのは迂闊だったよ。
 第7位は「機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY」も戦場の狂気を描いたアニメだった。元は一話15分のネット配信アニメで、全4話。それを劇場用に再編集したもの。正直、そんな尺であの原作を描けるのか不安だったんだけど、観たらびっくり。原作以上の出来栄えだった。
 ラスト、サイコザクを失ったダリル・ローレンツがゲルググに乗って戦うというアニメオリジナルのシーンがある。サイコミュで自分の手足のように動かせるサイコザクの後に非サイコミュ機のゲルググに乗るダリルの表情は見もの。このシーンを加えたことで深みを増している。
 第8位は北海道県警の不祥事を描いた「日本で一番悪いヤツら」。実録物の傑作だよ。
本来は一つの作品として扱うべきではないんだろうけど第9位の「64 ロクヨン」は二つで一つの作品なので二つ合わせてのランクイン。骨太なストーリーがいい。
  ベストは邦画が6本を占めているにゃ。
  ウチらのベストに限らず今年は邦画が豊作だった。来年は新年早々「ドント・ブリーズ」「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」といった面白そうな映画が上映されるし、「スターウォーズ」のエピソード8や「メッセージ」、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」、「哭声 コクソン」などが控えているから洋画の巻き返しがあるかもね。
  楽しみだにゃ。
  今年はあんまり更新できなかったね。
  東京国際映画祭が遅れに遅れたのは毎年の事だけどにゃ。
  今年はやらないかも。
  堕落したにゃあ。
  決めた、それにしよう。
  え?
  来年の抱負だよ。
  更新を増やすのかにゃ?
  いや、東京国際映画祭のを年内にやる!
  駄目にゃん!
  何はともあれ後数分で2017年。
  今年は散々だったからにゃあ、来年はいい年であってほしいにゃ。
  本当だね。
 & それでは皆様、よいお年を。


テーマ : 映画
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tag : ゴジラ 映画 作品 2016

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