面白いけど職業映画としては失敗作 映画「のみとり侍」

 九条小夜子(以下九) 今日は映画「のみとり侍」の話!
 初めて観たのがいつだったかは失念したけど、映画館で予告を観てからずっと観たいって思ってたんだよね。で、これがその予告。

 

 豊橋ミケ(以下猫) え? 阿部寛が歌舞伎の口上みたいにゃのを言ってるにゃ。これを劇場でやってたの? それに4月2日って言ってるにゃ。
  いや、この後に流れるのがウチが映画館で観た予告なのよ。最初は予告のみのものを載せるつもりだったんだけど、口上があんまりにも素晴らしかったもんで……。
  で、映画の方はどうだったんだにゃ。
  面白かったよ、面白かったんだけどね……。
  けど?
  魅力的なキャラクターに目がいって気がつかない人が多いと思うんだけどこの映画、ストーリーが変なのよ。
  変?
  阿部寛演じる小林寛之進は藩主の不興を買って藩から追放される。さてこれからどうするかと考えていると藩主が言った「猫のとりにでもなって無様に暮らせ」って言葉を思い出し、その言葉通り猫のとりになる。
 公式HPのあらすじ紹介では左遷って書いてあるけど猫のとり屋と越後長岡藩には何の関係も無いからね。表向きはその名の通り飼い猫のを駆除する仕事だけど、その実態は女性相手に春を売る裏稼業だった。
  そんにゃ仕事本当にあったの?
  公式HPの書き方を見ると猫のをとるってとこまでは史実みたい。
 それまで真面目一筋で生きていた寛之進は大いに困惑する。この様は阿部寛の真骨頂で、この映画の一番の笑わせどころ。阿部寛だけに限っていえば文句なしの百点満点だね。
 奇しくも最初の客は死別した妻とそっくりの女おみねだった。右も左もわからない状態で臨んだ寛之進は下手くそとなじられ、意気消沈する。その時、浮気したらすぐわかるよう股間にうどん粉をまぶせられているというのに女遊びがやめられない小間物屋の入り婿の清兵衛と出会い、彼から女性の喜ばせ方を学ばせてもらう。といっても寛之進は彼の浮気現場をのぞいているだけなんだけどね。
 で、清兵衛から得た性の知識でおみねを満足させた寛之進は自信を取り戻す。もっともこの件、ウチとしては納得いかないんだけどね。
  何でだにゃ? 
  のぞき見た清兵衛の猿真似だったからよ。寛之進ったら清兵衛が愛人に言ったセリフまで言ってるの。これってマニュアル本通りに動く男の子そのもので、女から見たらつまらないセックスだと思うんだけどなぁ。
 以後、寛之進のとり稼業は軌道に乗り、おみねとは馴染み客以上の仲になる。
  めでたしめでたしだにゃ。
  まだ続きがあるのよ。
  え?
  この続きは寛之進が身を寄せる長屋が舞台で、はっきりいって蚤とりじゃなくても成立する話。のみとり侍としての話は前半で終っちゃってるのよ。
  へー。でも後半と前半が違う話になってる作品て結構あるんじゃにゃいの?
  確かにミケの言う通りなんだけど、「のみとり侍」はそのために困った事になってるのよ、
 いくつかのエピソードを通じて寛之進は腕も立つし、情に厚い立派な人だって事がわかる。よくいう完璧超人なのね。でもそれを知ってるのは長屋の住人達や清兵衛だけなんだ。
  え、どういう事にゃ?
  おみねはエピソードの場面に居合わせたわけじゃないし、清兵衛とも長屋の住人達とも会っていないから話を聞くこともできない。つまりおみねは寛之進の事を何も知らないのよ。
 これってどういう事かわかる?
  あ! おみねは寛之進の身体の事しか知らにゃいんだ!
  さっきもいった通りいくつかのエピソードを通じて寛之進が立派なだって事が描かれているから気づきにくいけど、そういう事になるよね。
 くどいけど蚤とりとは関係ない所でそうしたエピソードが展開されているから、おみねは寛之進の身体だけに魅かれたように見えちゃう。
 蚤とり稼業を通じて寛之進が立派なだって事が描かれていればおみねも身体だけでなく人格も含め寛之進の全てに惚れたように見せることだってできたはず。でもそうじゃないから男の身体だけが目当てのうすっぺらい女に見えちゃった。そんなんでいいの?


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わからないを味わう 「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」

 九条小夜子(以下九) いや~、何といっていいかわからないものを観てきたよ。
 豊橋ミケ(以下猫) 藪から棒に何にゃ?
  実はね「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」って映画を観てきたの。
  長いタイトルだにゃあ。
  感想を一言でいうなら得体の知れないものを見たってとこかな。
  ふ~ん。
  主人公は心臓外科医のスティーヴン。彼とマーティンという少年の何気ない会話から始まる。
 ウチはてっきり二人は親子なのかなって思ったのよ。それぐらい仲よさそうに見えたし。ところがスティーブンには妻と聖歌隊をやってる娘のキムとまだ幼い息子のボブがいたの。
  マーティンとは赤の他人だったのかにゃ?
  アメリカって離婚が多いじゃない?
  今やアメリカに限った話じゃにゃいにゃ。
  そうなんだけどさ。で、最初は別れた妻との間の子供かなって思ったのよ。でもそうじゃなかった。それでウチ、もしかしてスティーブンってバイセクシャルなんじゃないかって。
  マーティンは愛人?
  それも違った。
  小夜ちゃん、いつから腐女子ににゃったにゃ?
  違うよ~。そういう風に思っちゃう程、親密な間柄に見えたって事!
 実はマーティンはかつてスティーブンが助けられなかった患者の息子だったのよ。ひょんな事で出会って、それ以来のつきあいなんだって。
  罪悪感からって事かにゃ?
  それもあると思う。
 3分の1くらいまではエリート医師一家の何気ない日常風景が続くんだけど、それにサスペンス映画みたいなBGMがかかって不穏な雰囲気なのよ。
 ある日、ボブの脚が麻痺して動かなくなる。その後、マーティンが唐突にスティーヴンが酔って手術をしたせいで僕の父親は死んだ。だから貴方の家族を一人殺す。誰を死なせるかは貴方達が決めろ。決めなければ貴方以外の3人は全員死ぬって言い出すの。
  はぁ?
  それらしい伏線なんて無かったからウチもびっくりしたよ。こいつ突然何言い出すんだって感じ。
 マーティンが言うにはまず最初に脚が麻痺して動かなくなる。これがステージ1。
  病気みたいにいうにゃ。
  相手が医者だからそれに合わせたのかな? このステージ1っていい方が曲者なんだよね。
 で、ステージ2は摂食障害。ものが食べられなくなって痩せ細っていく。ステージ3になると目からの出血が始まる。こうなるとすぐに死んじゃうんだって。
 ボブだけなら彼の症状を知ったマーティンがスティーヴンを怖がらせようとしてでっち上げたって解釈もできるけど間を置かずにキムも発症してしまう。
  謎の病気って解釈はもうできにゃいわけだにゃ。
  こうなるとマーティンが呪いをかけたって考えるのが一般的なんだけど、
  一般的?
  映画としてはよ! でも最初から最後までオカルト的なものは一切出てこない。それどころかタイトルにある鹿すら出てこない。
  じゃあ配給会社が適当につけたタイトルにゃんだ。
  それがそうでもないのよ。「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」ってタイトルは原題の直訳なの。でも鹿が出ないばかりか鹿殺しについて劇中では一切触れないから映画だけではタイトルの意味がさっぱりわからない。
 どうやらギリシャ神話に鹿を殺した男がその償いとして子供を神に捧げるって話があるらしいんだけど、はっきりした事はわかんない。
 それに当のマーティンが復讐を企てているとは思えないくらい淡々としてるのよ。
  淡々?
  復讐者にありがちな執念といったものがマーティンからは全く感じられないの。例の症状を語る時も復讐の方法というよりは知られざる自然の摂理を語ってるみたいなんだよね。
 後半、事態を打開すべくスティーヴンはマーティンを地下室に監禁し、拷問する。その時、マーティンを殺人鬼と罵るんだけど、ハタから見るとスティーヴンの方が常軌を逸してる。
  何を考えているかわからにゃい奴だにゃ。
  それが一番妥当ないい方ね。でなければ狂信者か。
  何を信じてるのかにゃ?
  具体的な事はわからない。ただマーティンの言動を見てると呪ったというよりは天罰が下ったと信じてるように見えるのよ。「セブン」のジョン・ドゥに近いかな。彼から主体性を抜いた感じ。
  結局例の症状ってなににゃの?
  くり返すけど呪いの類と解釈するのが自然だと思う。もちろん映画としての話よ。
 スティーヴンがマーティンの父親の手術をする時、酔っていたというのは手術に参加した麻酔医だけが気付いていたって事になってるの。
  にゃるほど。何でそれをマーティンが知っていたかが謎だにゃ。
  麻酔医は渡すものさえ渡せば簡単に喋っちゃうから何らかの取引をして聞き出したって事は大いにありうるし、知ってるのは自分だけっていうのは麻酔医の思い込みでしかなく、他にも気付いた人がいたのかもしれない。というか主治医が酔ってるのに気付いたのが麻酔医だけって方がおかしい気がする。
  マーティンが知る手段はあったって事だにゃ。
  ウチはそう思う。
  これってホラー映画にゃの?
  ウチは違うと思う。何故ってこの映画には怖がらせようって意思が全く感じられないから。サイコホラーや復讐劇と考えるとマーティンのキャラクターがそぐわない。不気味といえば不気味なんだけどね。
 この映画に関してはジャンル分けは無意味だって気がするし、どんなジャンルに分類したところで釈然としない点は残る。
  頭の中が消化不良だにゃ。
  そういう事。得体の知れないものを観たって感じ、わかるでしょ? ウチが思うにこの映画の中に答えは無い。小泉八雲の「茶碗の中」みたいにわからないって事を味わう映画なんだと思うな。



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長いタイトルは駄作の印? 2017年のベスト&ワースト

 九条小夜子(以下九) 2017年も残すところわずか。
 豊橋ミケ(以下猫) わずかもわずか、あと1時間で2018年だにゃ。
  ま、まあ毎年恒例のベスト&ワーストはぎりぎりで更新するようにしているから……。
  だからってぎりぎり過ぎにゃ。普通は12月の中旬ぐらいにやってるにゃ。
  ……まぁ年末間際に大傑作と出会うことだってありえるわけで……。
  いいたい事はわかるにゃ。でも今年は18日以後映画館に行かにゃかったし、25日の時点でもう今年は行かないってわかってたんだからもっと早くできたはずにゃ。
  厳しいなぁ……。
  それじゃまずはワーストだにゃ。



 ワースト
 1 ありがとう、トニ・エルドマン
 2 マンチェスター・バイ・ザ・シー
 3 機動戦士ガンダム Twiligt AXIS 赤き残影
 4 マグニフィセント・セブン
 5 キング・アーサー
 6 交響詩編エウレカセブン ハイエボリューション1
 7 エルネスト もう一人のゲバラ
 8 打ち上げ花火、下から見るか? 上から見るか?
 9 ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第1章
 10 相棒 劇場版Ⅳ 首都クライシス 人質は50万人! 特命係最後の決断


  1位に輝いた「ありがとう、トニ・エルドマン」はドイツの映画で、仕事に追われる娘の前にトニ・エルドマンという別人に変装した父が現れた。トニ・エルドマンの言動は周囲に評価され、やがて娘は仕事の事、父親の事を見つめ直す……ってあらすじの“ハート・ウォーミングコメディ”なんだけど……正直、ウチは何が面白いかどころか登場人物の考えてる事がさっぱりわからなかった。例のお父さん、いたずら好きってことなんだけど、コスプレで職場にまで来られたらね……。
  こっ恥ずかしいにゃ。
  子供としては一番やってほしくない事だと思うんだけどなぁ。一回ぐらいならご愛嬌ですむけど取引先にまでついて来た挙句、交渉に口を出して不利な方へ持って行くわ、朝、起こさなかったために仕事に穴をあけるわではっきりいって冗談じゃすまない。親といえども叩き出してもおかしくないレベル。娘も娘でユーモアが足りないって言われたからってパーティじゃ全裸で出迎えて客をドン引きさせる。
  全裸で客を出迎えるのがユーモアにゃの?
  んなわけないでしょ! 登場人物が何を考えているのかさっぱりわからなかった。
 同様の事は2位の「マンチェスター・バイ・ザ・シー」にもいえて、安易な救済を否定している点は評価するけど、だからって映画として面白くなるわけじゃない。あと甥のバンド仲間って出す意味あった?
 3位の「機動戦士ガンダム Twiligt AXIS 赤き残影」はネット配信された「機動戦士ガンダム Twiligt AXIS」を劇場用に再編集したもので、30分前後の枠内に収めるためにヒロインのアルレットだけに焦点を絞ったのは仕方ないにしても説明が足りなすぎ。一見さんお断りの編集のせいで敵がどういう連中なのか、クライマックスのMAが何なのかさっぱりわからない。思い切って敵側の人物描写は全てカットした方が謎の敵って感じになってよかったと思う。
 そもそも全6話のアニメを30分前後でやろうなんて無理に決まってる。監督や脚本は悪くないよ。
  じゃあ何が悪いんだにゃ?
  企画そのものだよ。
 同じく一見さんお断りなのが6位の「交響詩編エウレカセブン ハイエボリューション1」。いきなりレントンがビームス夫妻の元から去る所から始まり、エウレカやゲッコーステイツとの出会いは断片的にしか描かれない。
  TVシリーズを観てにゃい人にはエウレカやゲッコーステイツが何にゃのかわからにゃいだろうにゃあ。
  レントンは既にビームス夫妻の養子になってた。ここTVシリーズとは違うんだよね。TVシリーズを観た人は観た人なりにどういう意味があるのか、考えちゃうよね。TVシリーズを観ているのが前提の構成にするなら設定は変えちゃ駄目だよ。
 それと新作カットとTVシリーズからの流用カットのサイズが違うのにも呆れた。
  サイズの違い?
  新作カットは映画のスクリーンに合わせた縦1に対し横1.66のビスタサイズなんだけど、TVシリーズからの流用カットは放送時のTV画面に合わせた縦3に対し横4の比率なの。ビスタサイズと比べると左右が短いんだよね。で、「エウレカセブン」の場合、その左右の違いを修正しないままつなげているから、同じ映画なのに画面の幅が場面ごとに変わるという珍事が起こってる。
  そりゃ変だにゃ。
  TVシリーズからの流用カットはレントンの回想場面のみに使われているから問題ないなんて思ったら大間違い。実は冒頭にTVシリーズでは描かれなかったサマー・オブ・ラブが新作カットで描かれているの。これ、レントンの回想ではありえない。
  じゃあ回想シーンはTVサイズってのも成り立たにゃいにゃ。
  そうなのよ。画面サイズの変化に演出上の意味が無いんじゃ新作カットと流用カットをなじませる努力を放棄したと思われても仕方ない。
  「新訳Z」だってにゃじませる努力はしてたのににゃあ。
  あんまり効果なかったけどね……。
 4位の「マグニフィセント・セブン」は黒澤明の名作「七人の侍」を西部劇に翻案した「荒野の七人」のリメイクなんだけど……。
  七人の面子がだいぶ変わってるにゃ。
  それはいいのよ。これからも「荒野の七人」のリメイクが続いていくなら面子の変遷は時代を映す鏡になるかもしれない。もしそうなったら面白いじゃない。
  いわれてみれば「荒野の七人」では悪役は野盗だったけど「マグニフィセント・セブン」だと強欲な金持ちとその手下ににゃっていたにゃ。これってアメリカの格差社会を反映したのかにゃ。
  「マグニフィセント・セブン」の制作陣がそう考えていたかはわからないけど、ウチがいいたいのはまさにそういう事。でもウチが「マグニフィセント・セブン」をワーストに入れたのはストーリーが雑だから。
 イーサン・ホーク演じるグッドナイト・ロビショーは南北戦争のトラウマが元で銃を撃てなくなっていて、一度はガンマン達の元を離れるんだけど、クライマックスの銃撃戦には帰ってくる。問題なのはロビショーがどうやってトラウマを克服したのかが描かれていないのよ。
  それじゃトラウマを描いた意味がにゃいにゃ。
  でしょ? さらに敵のガトリングガンの事をどうしてロビショーが知っていたのか、一切説明無し。
  編集でカットされたのかにゃ?
  それってロビショーの存在意義をカットするのも同じだよ。
 リーダー格のチザムの母は敵のボスにレイプされ、殺されていた。チザムとの間に因縁があったわけだけど、それを匂わせる描写は一切無くて、最後の最後で唐突に言い出すもんだからウチはあっけにとられちゃったよ。
 伏線のはり方や回収の仕方がてんでなってないんだ。
 5位の「キング・アーサー」は現代風に解釈した結果つまらなくなってしまったという「ヘラクレス」の轍を踏んだ駄作。
  あたしは「キング・アーサー」が一番つまらにゃかったにゃあ。
  確かに面白さって点では「マグニフィセント・セブン」の方が上だね。でも「キング・アーサー」にはつまらないって点以外に欠点が無い。
  それこそ最大の欠点のようにゃ……。
  7位の「エルネスト もう一人のゲバラ」は宣伝を見るとチェ・ゲバラの映画みたいに見えるけど実際は革命に身を投じた日系ボリビア人フレディ前村の物語で、チェ・ゲバラが広島を訪れるエピソードとフレディ前村には何の関係も無い。
  一応フレディ前村とゲバラは会ってるんだけど、その時に広島の事が話題に上るわけでもにゃいもんにゃ。
  ひょっとしたらフレディ前村はチェ・ゲバラが広島に行った事を知らないままだったのでは? とさえ思った。
  最後にフレディ前村の友人達が出て、彼をほめちぎるシーンがあったけどあれも言わされてる感があって白々しかったにゃあ。
  その点はウチらの感想ってことで。
  「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」が8位にゃのは意外だにゃあ。
  意外ってどういう事よ? ウチはシャフト信者じゃないよ。これは1993年にフジテレビ系列で放送されたドラマ「ifもしも」一編をアニメ化したもの。この「ifもしも」ってドラマ、毎回二つの結末があったの。
  結末が二つ?
  毎回中盤辺りに二つの選択肢が提示されるの。で、それを選んだらどうなるかを描いていたのよ。
  マルチエンディングのはしりだにゃ。
  当時、その概念は無かったと思うけど、そういえるかもね。
 「ifもしも」の構成を踏襲して一種のループものにしたのはいいけど、何度もループするから正直水増し感が……。
  元は45分のTVドラマだもんにゃ。
  TVドラマ版では主人公達は結ばれる事なく別れていく。だからこそ切ないんだけどアニメ版は二人そろって行方不明という結末に変えられていて、見方によっては結ばれたとも見える。この受け止め方は人それぞれなんだろうけど、ウチは原典の持ち味を殺してしまったように感じられた。また登場人物はTVドラマ版が小学生だったのにアニメ版では中学生になっていた。それなのにTVドラマ版と同じ行動をとっているので幼く見えてしまう。
  あと、無駄に声優が豪華だったにゃ。
  確かにね。でもウチはその豪華さ、必要だったの? って思っちゃう。
 9位は「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第1章」。
  これは説明不要だにゃ。
  来年の「映画秘宝」3月号のトホホの上位に入ってるのは間違いないね。
 この映画、3位と6位とはうって変って一見さんに配慮した結果、かえってわかりにくくなってしまった珍しい例。
  というか脚本が下手にゃんだにゃ。
  初めて「ジョジョ」に触れる人に配慮する。ここまでは正しい。でもDIOの存在に触れなかったために虹村パパが何であんな事になってしまったのかがさっぱりわからない。
  あんにゃ病気にゃいだろ!
  期待はしてなかったけど山﨑賢人が迫力不足なのがねぇ……。空条丈太郎役に伊勢谷友介が決まったって聞いた時はけっこういいかもって思ったんだけど、観たら全然迫力が無かった。「忍びの国」では迫力あったのにどうしちゃったの?
 10位は「相棒 劇場版Ⅳ 首都クライシス 人質は50万人! 特命係最後の決断」。
  長いにゃ!
  TVシリーズはシンプルなサブタイトルなのにね。エレベーターのボタンを使ったトリックや映画史上最高齢のテロリストなど首をひねるところが多いけど、一番問題なのは犯人を悲惨な過去のために道を誤ったけど実はいい人みたいな描き方でまとめているとこ。冒頭、ダンテ・カーヴァー演じる国連犯罪情報事務局職員を冷酷に殺している事を皆忘れちゃったの? 人殺しに同情しちゃいかんっていうわけじゃないけど実はいい人アピールがあまりにも強かったからね、気になっちゃって。
 10位は「バーニング・オーシャン」にしようか最後の最後まで迷った。
 2010年のメキシコ湾原油流出事故を描いた災害パニック映画なんだけど、石油掘削施設のメカニズムがわからないから劇中、何が起きているのか把握できないのよ。解説役のキャラもいないし、ナレーションも無いの。この点、もう少し配慮が欲しかったな。
  ワーストの後はベストだにゃ。



 ベスト
 1 ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男
 2 ナイスガイズ!
 3 スヴェタ
 4 ペット安楽死請負人
 5 レゴバットマン ザ・ムービー
 6 否定と肯定
 7 恋妻家宮本
 8 彼らが本気で編むときは
 9 幼な子われらに生まれ
 10 機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER


  1位の「ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男」については3月に「ジョーンズ自由州4原則を歴史遺産に! 『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』」で書いたのでここでは割愛するね。
  今年はそういうの少にゃいにゃあ。
  (目をそらして)……。
 2位の「ナイスガイズ!」は冴えない二人のおっさん探偵が主役のアクションコメディ。17年で一番笑った。「ありがとう、トニ・エルドマン」よりもね。
  今年はライアン・ゴズリングの出演作が多かったけど「ナイスガイズ!」のライアン・ゴズリングが一番だったにゃ。
  3位と4位は東京国際映画祭で観た映画。
 3位の「スヴェタ」はカザフスタンの映画で、生活を守るためなら手段を選ばない聴覚障害者の物語。ヒロインのスヴェタは縫製工場で人員整理の対象にされそうになると残るはずだった女性を後から殴って昏倒させた他、夫の母親を毒殺するなど良心のかけらも無いように見える。でもウチはラストに自分が殴って入院させた女の娘を一晩だけ預かった後、施設に送る前にその娘に強くなれと言うシーンを見るとスヴェタにも良心はあるんだって気がする。サイコパスかもしれないけどさ。
 4位の「ペット安楽死請負人」はフィンランド映画で自動車修理工のヴェイヨ・ハウッカは副業でペットの安楽死を請け負っている。
  タイトル通りだにゃ。
  彼は独自の倫理観に基づいて行動する。彼の倫理に反する依頼は受けない。そのためにネオナチ集団、といってもかっこだけでチンピラといい換えてもさし障りのない連中なんだけど、そういう連中とつきあいのある自動車用品店の店員ペトリの依頼に背き、彼の犬を飼うようになる。それに怒ったペトリはネオナチ集団に煽られたこともあって犬を焼き殺してしまう。ヴェイヨはその報復にペトリを焼き殺し、その償いとして自らに火を放つ。
  え……。
  タイトルだけ見て面白そうと思ったら大当たりだったね! 独自の価値観を貫き通すヴェイヨの存在感は今年観た映画の中でもずば抜けていた。
 ハードボイルドの大傑作だから是非一般公開してほしいな。
 5位はCGアニメ。
  え、レゴを使った人形アニメじゃにゃかったの?
  ウチもそう思ったけど、人形じゃあんな動きはできないよ。子供向けアニメの皮を被ったバットマン論になっていて、むしろ批判精神を持った大人の方が楽しめる。ルックスで誤解している人、多いと思うな。あと、ギャグのセンスもいい。
 6位の「否定と肯定」はホロコーストは無かったと主張する歴史修正主義者デヴィッド・アービングを著作で批判したデボラ・リップシュタットっていう歴史学者がイギリスで名誉棄損の裁判を起こされる。その顛末のみに絞った法廷劇で、当事者であるはずのリップシュタットが蚊帳の外っていう展開は意外だった。
  弁護人と仲が悪かったのかにゃ?
  そうじゃなくてこれは弁護人の戦術だったんだ。相手の思惑は裁判を通じて自説は正式な歴史学者の説と同等であると世間に思い込ませる事。また、少しでも相手が返答に窮すればそこだけをクローズアップして喧伝し、自説を広めようと狙っていたんだ。だから彼女を法廷に立たせるのは歴史修正主義者の思うつぼだったんだ。
 リップシュタットの弁護士達はアービングの著作で挙げられている根拠を一つ一つチェックし、その誤りや彼が参考にした資料の中からホロコーストを肯定する部分を探し出し、突きつけていった。一見、ホロコーストが真実かどうかを争っているように見えるけど争点はリップシュタットがアービングの著作を批判した事が名誉棄損にあたるかどうか。
  それ、同じ事じゃにゃいの?
  そこが違うのよ。民主主義の辛いところで、アウシュビッツは無かったと言う事自体は言論の自由で罰せられる事じゃない。この場合、アウシュビッツの存在を証明するだけじゃ足りないおそれがあった。だからアービングが資料から自分の説に都合のいいところだけを“つまみ食い”している事を指摘し、彼らの主張がただ単に間違っているだけじゃなく、意図的に事実を捻じ曲げた悪質なものである事を証明しなくちゃならなかったのよ。
 リップシュタットの弁護人がとった手段が全ての歴史修正主義者に通用するとは限らないけど歴史修正主義への処方箋を示した事は高く評価したい。

 TV.Brosの「否定と肯定」評

 雑誌「TV.Bros」で人物が描けてないって批判されていて、ウチもその指摘はあっていると思う。でも「否定と肯定」の主役は人物じゃなくて裁判だからそれでいいと思う。
 7位の「恋妻家宮本」は妻の浮気に気をもむ中年男を描いたコメディ
 主演の阿部寛が作り方まで含めて披露していたキャベツとコンビーフの炒めもの、ウチもやってみたけど簡単なうえに美味しかったよ。
  だから7位にゃの?
  そんなわけないでしょ~。
 8位の「彼らが本気で編むときは」は母親の家出を機に性転換した元男性のリンコと彼というか彼女のパートナーの男性のマキオの元に預けられた少女の視点から日本の性的少数者の現状を描いている。リンコに対して偏見を持つ人も当然出てくるけど彼女達を悪人として描いていない点もいい。
 9位は離婚が珍しい事ではなくなった現代の親子の問題を描いた「幼な子われらに生まれ」。主人公はバツイチで妻の連れ子の姉妹と暮らしている。主人公の子供は前妻が引き取っていて、彼女は既に再婚しているんだ。
  主人公とその前妻の家庭は親子関係が逆ににゃんだにゃ。
  そういう事。例の姉妹のうち下の娘は幼いこともあって主人公になついているが、上の娘は主人公を家族と認められず、反発する。一方主人公の娘は波風こそ立てていないものの母の再婚相手を父親と認められず、それを負い目と感じている。
 主人公の現在の娘の姉の方は前の父親に会いたいと言う。でも前の父親はDV男だった。主人公は前の父親を探して娘に会ってくれるよう頼み、渋々ながら了承させ、段取りをつける。でも姉娘は結局会いに行かなかった。
 根本的な解決には至らないもののそのための手段を模索している姿がよかった。
  解決してにゃいのに?
  そりゃ解決できるならそれにこした事はないよ。でもこういうのってケース・バイ・ケースで、これならどんな家庭でも大丈夫なんてものは無いんだ。解決策を示さなかったのはむしろ誠実さの表れだとウチは思うよ。
 10位の「機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER」はMSのアクション、音楽の使い方などどれをとっても最高だった。実は「DECEMBER SKY」のところまでしか原作を読んでなくて、ストーリーが理解できるか不安だったんだけど、全く問題なかったね。むしろ新鮮な気持ちで観られた。
  これってワースト3位の「Twiligt AXIS 赤き残影」と同時上映だったんだよにゃ。
  そういえばそうだ。ベストとワーストが同時上映だったなんて初めてだね。
  それ以前に同時上映自体が少にゃいにゃ。
  そういやそうだ。
  今年はコメディが多かったにゃ。
  そういやそうだね。
  ワーストに挙げた「ありがとう、トニ・エルドマン」だってぶっちゃけ笑えなかったって事だし。
  コンセプト自体はいいと思うのよ。でも描き方が全然駄目だった。コメディの難しい点はここね。“ツボ”かどうかで評価が180度変わりかねない。
  アメリカで興行収入のトップににゃったコメディ映画が日本じゃDVDスルーってよく聞くもんにゃあ。
  笑いは文化に拠るところが大きいからね。
  来年はどうにゃるのかにゃあ。
  今、ウチが楽しみにしてるのは「キングスマン ゴールデンサークル」、「デトロイト」、「嘘を愛する女」、「ルイの9番目の人生」、「スリー・ビルボード」、「羊の木」、「シェイプ・オブ・ウォーター」だね。
  そうじゃにゃいにゃ。
  正直、見通しは悪い。北朝鮮問題は先に手を出した方が不利になるってどっちもわかってるから膠着状態になると思う。正直、どっちも手詰まりの感があるし。むしろトランプ米大統領がエルサレムを首都と認めた事が中東にどんな影響を与えるか、そっちの方が大きいと思う。
  日本はどうにゃるにゃ。
  大きな選挙が無いから劇的な動きは無いんじゃないかな。森友学園、加計学園問題を野党がどこまで追及できるか、それによって安倍首相の影響力は上下するけど、退陣には至らないでしょうね。自民党内の反安部勢力がカギを握ってると思うよ。
 ま、何が起きても問題が解決されることはなく、忘れ去られていくだけだろうね。
  え~。
  もう日本は悪くなる一方だよ。ただそれは日本人自身の責任。誰の陰謀でもない。
 こんな事いっておいてなんだけど、大晦日のしめくくりといえば之の他にはないんで……。
  まさに虚礼だにゃあ。
  まあまあ、それじゃせーの、
  それでは皆様、よいお年を!


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へんないきものとへんなのりものの投げっぱなし映画 「アトランティス 七つの海底都市」

 九条小夜子(以下九) 今回はザ・シネマで放送された「アトランティス 七つの海底都市」の話をするよ。

アトランティス 七つの海底都市

 豊橋ミケ(以下猫) で、どうだったのかにゃ?
  え? どうだったって……ミケ、一緒に観てたでしょ?
  ごめんごめん、途中で寝ちゃったにゃ。
  ああ、そういえばそうだったね。ぶっちゃけ寝て正解だった。ウチだって何度も寝そうになったよ。
 この「アトランティス 七つの海底都市」って映画怪獣ファンならタイトルは知らなくてもヤスデ怪獣モグダンやフジツボ怪獣ザルグなら聞き覚えがあるんじゃないかな? というよりウチにはモグダンやザルグが独り歩きしてる印象がある。
  独り歩きってどういう事にゃ?
  70~80年代に発売された子供向けの怪獣図鑑の類によく載っていたのよ。その頃は怪獣を観たかったらTVの再放送を待つか怪獣図鑑を読むしかなかったの。
  今はレンタルや配信、youtubeなどいろいろあるにゃあ。
  ウルトラシリーズなんかは早朝の再放送などで観る機会は比較的多かったけど、洋画に出てくる怪獣となるとそうはいかない。「エイリアン」みたいなビッグスターだってジブリ映画みたいに毎年放送していたわけじゃない。
  ジブリ映画は特別って気がするにゃ。
  ましてやB級映画となるとほとんど放送されなかった。そんな怪獣少年の渇望につけいる……じゃなかった応えるようにケイブンシャの大百科みたいな本が出版された。当時の怪獣少年なら最低でも一冊は持っていたはず。といってもよりどりみどりって程出版されたわけじゃない。年に一冊出れば当たり年だったんじゃないかな? だから一冊の本を何度も読みふけった。そんなわけで70~80年代の怪獣少年にとって書籍でしか見た事のない怪獣って多いのよ。で、モグダンもザルグもそんな怪獣だったの。
  モグダンって……。
  今モグダンで検索しても怪獣はヒットしないね。
 このモグダン、ヤスデ怪獣って肩書がついてるけど、ヤスデには全然似ていない。むしろ魚と爬虫類を合成したような姿で、湿地に住み、人間を襲って食らう。一方のヤスデは森や林の地中に住み、枯葉やそれに付いたカビや茸などを食べるので生態も全然違う。何でヤスデ怪獣なんて呼ばれるのかさっぱりわからない。
  しいていうならハゼ怪獣だにゃ。
  うん。似てはいないけどハゼやオコゼの方がしっくりくる。
話を戻すけど、管理人は子供の頃、TVで観た覚えがあって断片的な記憶があったのよ。今年、ザ・シネマで放送されるって知って、懐かしさから録画したのを観せてもらったんだけど……。
  どうしたんだにゃ?
  悪いけど観ない方がよかった。
  え~。
  1978年の映画としてもひどい内容なのよ。
 真っ赤に燃える隕石が海中に没するシーンから始まるの。
 ウチは隕石だと思っていたけどあれ、宇宙人の乗り物だったみたい。
  乗り物? 宇宙を旅するなら宇宙船じゃにゃいの?
  それがね……どうも都市ごと地球にやってきたらしくて……この場合、どう表現したらいいんだろう?
 で、そこが何とバミューダトライアングル!
  あ、何となくその後の展開わかっちゃったにゃ。
  チャールズ・アトキンとその父親はチャーターした船でその海域の調査に向かう。
 調査に使う球形の乗り物があるんだけど、これが潜水艇といっていいのか迷うけったいな代物なのよ。
  何で潜水艇っていえにゃんだにゃ?
  だって底に穴があいてるんだもん。
  え? 何があいてるのかにゃ?
  穴よ、穴! ここは管理人も完全に忘れていてびっくりしていた。設計者のグレッグはコップを逆さにして沈めても中の空気が残っているので水でいっぱいにはならない、つまり空気圧で入ってくる水を押し返すって説明してるんだけど……。
  そんにゃの無理に決まってるにゃ!
  だよねえ。でも劇中ではどんだけ深く潜っても水は入ってこなかった。
  そんにゃ馬鹿にゃ……。
  もちろん現実に同じものを作ったら乗り物じゃなくて溺死者製造器になっちゃうよ。おまけにこの球体、例の穴からしか出入りができない
  え?
  普通は上にハッチとかつけるよね? そんな構造なら船上で乗り込むって思うでしょ?
  思うでしょ? って訊くことはまさか、海の上で乗り込むの?
  そう。何故か海面まで下ろしてから乗り込むのよ。
  濡れちゃうにゃ!
  だよねえ。球体内にはドライヤーも着替えも無いのにどういうわけかグレッグもチャールズも濡れてないんだよね。
  何でぇ?
  ウチに訊かれてもわかんないよ。こうなったらもうウチらの世界とは物理法則が違う世界の物語と考えるしかない
  え~……。
  そんな構造だから深海に達した時、唐突に現れた首長竜が首を突っ込んできて、乗っていたグレッグとチャールズは窮地に陥る。
  安全面でも問題ありにゃ。
  それはスタッフ達も認めてるみたい。
  何だってそんにゃトンデモな設定にしたんだにゃ。
  ウチにもさっぱりわからない。首長竜を追い払った後、二人はトーテムみたいな黄金の像を見つける。それを引き上げるために例の穴から像を球体内に入れていた。
  都合よくサイズが合ったからいいようにゃものの大きくて入らにゃかったらどうするつもりだにゃ。
  そうなんだよねえ。チャールズは黄金像があるんじゃないかって思ってたから像を入れる事を想定して穴のサイズを決めたのかもしれないけど、やっぱご都合主義の感は否めないよね。で、ウチが思うにこのために底に穴のあいてる球体って変な乗り物にしたんじゃないかな?
  え?
  もし穴がなかった場合、いったん戻るか、潜水夫が来るのを待たなくちゃいけない。それだと話の流れが中断されちゃうから穴に入れるって方法にしたのかも。
  それおかしいにゃ。その場面は省略できるし、潜水艇にマニピュレーターやマジックハンドを付ければすむにゃ。
  確かにそうなんだよねえ。78年ならどっちも発想としてはアリだもんね。
  何だってそんにゃトンチキにゃ設定にしたのか……。
  くどいようだけどさっぱりわからない。
 この黄金像、何のために作られたのか劇中では一切触れられない。で、欲に目がくらんだ船長以下船員達は黄金像を独り占めしようと球体を吊るすワイヤー類を切断しちゃうの。
 猫 あれ、空気を送るケーブルは?
  一緒に切断したよ。
  って事は球体の中は水浸しににゃるんじゃにゃい?
  それがならないのよ。ワイヤーを外されて球体は沈んでいった。当然水圧も上がっていくわけで、空気の供給を断たれた球体は水でいっぱいになるはずなんだけど……。
 ちなみにアトランティスから脱出する際、同じ球体を使うんだけど、人数が増えてるうえに球体自体には何の動力も無いのに浮上していくの。
  じゃあにゃんで沈んだんだにゃ!
  知らないよ! ご都合主義としかいいようがない。
 球体は偶然アトランティスに通じる穴に落ちる。そこは古代ギリシャ風の石造りの柱が並ぶ海底都市だった。ちなみにタイトルじゃ七つっていってるけど実際には三つぐらいしか出ない。さらに大ダコに連れさらわれ、船長達もやってくる。一行の前にアトランティスの人々が姿を現し、チャーリーだけ指導者の元へ連れて行く。
  他の人達はどうにゃるのかにゃ?
  アトランティス人は大ダコを使ってさらった人達を奴隷にしていた。グラント達も同じ運命。
 グラント達は先にさらわれた人達と会う。普通の洋画ならグラント達は奴隷達と力を合わせアトランティス人に反旗を翻し、自由を取り戻すって展開になるじゃない? でも「アトランティス 七つの海底都市」は違う。奴隷たちは都市を襲うザルグの迎撃で手一杯で、グラント達はそのどさくさに紛れて逃げ出す事しか頭にない。
  ある意味リアルだにゃあ。
  ザルグの迎撃に使っているのが何と中世レベルの大砲! それと第二次世界大戦でも時代遅れと思われるライフル! 城壁を登ってくるザルグには石を投げて迎え撃っていた。
  機関銃とかにゃいの?
  無い。ライフルだって連発できないんだから機関銃なんてあるわけない。
 アトランティス人は地上の様子を把握しているらしくて、それなら機関銃の存在を知っていてもおかしくはない。
  でもにゃいんだよにゃ? 
  うん。火薬の材料にできる物質が無いのか、もしくは平和な時代が長く続きすぎたために武器を作る技術が失われてしまったのか……。ライフルを見た船員達がウィンチェスターだって言ってたし、アトランティス人が作ったものじゃないのかも。
 アトランティス人は地球に安住する気は無く、いつか宇宙に帰るって言ってたけどこの技術レベルじゃ無理だと思うわ。
  衰退してるのに気付かにゃいんだにゃ。
  先にさらわれていた女性の案内でチャーリーを助け出し、一行は地上に帰還する。
  ザルグは? アトランティス人は?
  わかんない。アトランティス人がどうやって宇宙に帰るつもりだったのか、ザルグとの戦いがどうなったのかが一切描かれないんだよ。
  後は野とにゃれ山とにゃれってヤツだにゃ。
  そういう事。他にもアトランティス人が自分達の力を見せてやろうと言ったのに何もしない。この映画には伏線の回収なんてものはないのよ。
  投げっぱなしだにゃ。
  スタッフは状況を説明すればそれでよし、解決しなくてもいいって思ってるのかもね。
 この映画、公開当時の人が観てもツッコミどころ満載のトンデモ映画だったんじゃないかな。
  は~、怪獣の写真だけで満足した方が幸せだったかもにゃあ。



テーマ : 特撮・SF・ファンタジー映画
ジャンル : 映画

tag : 怪獣 モグダン アトランティス 映画

「キングコング 髑髏島の巨神」関係者の皆様、すいませんでしたーっ! #人類よ立ち向かうな  #キングコング映画

 キングコング 髑髏島の巨神

 豊橋ミケ(以下猫) 謝罪から始めたのは前にもあったけど、タイトルが謝罪にゃのは初めてじゃにゃいかにゃ?。
 それにしても小夜ちゃん、「応募してないんだけど……」じゃ観に行くのやめよっかにゃ~みたいにゃ事いってたけど結局観に行ったんだにゃ。
 九条小夜子(以下九) う、うん。
  思い出したかにゃ?
  2週間経つか経たないかだからね。そりゃ忘れないよ。それに日本じゃキングコングってメジャーじゃないじゃない。
  だにゃあ。
  イオンシネマのやった事は今も問題だと思ってるよ。でもそれと映画そのものは関係ないからね。「応募してないんだけど……」じゃいい過ぎたかな~って反省してる。
 あらためて「キングコング 髑髏島の巨神」関係者の皆様、すいませんでしたっ!


  純度100パーセントの怪獣映画だったにゃあ。
  そう、ミケのいう通り怪獣以外は何もないといっていい映画だったね……ってこれけなしてない?
  怪獣バカ映画といえば……。
  ああ、それなら……ってそれいわれて喜ぶのって腹をくくった真性オタクだけだよ!
 「髑髏島の巨神」は従来の「キングコング」の島部分だけを描いたような作品だった。
  スカルクローラーはティラノサウルスやバスタドサウルスのポジションだにゃ。
  感心したのは「髑髏島の巨神」じゃ髑髏島の原住民を原始的ながら文化を持つ人々として好意的に描いている事。
  ピーター・ジャクソン版でも主人公たちを脅かす存在だったのににゃあ。
 キングコングを神と崇めている点は今まで通りだけど、生贄を捧げたりはしてにゃいんだにゃ。
  危険な野蛮人どころか友好的な隣人として描かれていた。「モスラ」のインファント島の原住民達に近いね。
 舞台はニクソンが決めたベトナムからの撤兵が始まった1973年。
  ヘリに飾ってあるニクソンの首振り人形がいいスパイスににゃってるにゃ。
  あれは印象に残るねぇ。
 印象に残るといえばタイトルロールにもなっている髑髏島。嵐に囲まれてなかなか上陸できないって設定なんだけど、そのビジュアルが「ラピュタ」の竜の巣の中に「地獄の黙示録」のベトナムを置いたって感じ。
  「地獄の黙示録」? ベトナムは島じゃにゃいにゃ。
  でもやたらと川をゆくじゃない。あれって源流は「地獄の黙示録」だよ。
 今までの「キングコング」は戦争とは無縁だったんだけど、「髑髏島の巨神」は太平洋戦争で墜落した日米のパイロットが争う中、キングコングと遭遇するシーンから始まるなど戦争が影を落としている。といってもゴジラみたいに核をめぐる葛藤とかは一切なく、ストーリーは怪獣が支配する島からの脱出に絞ったシンプルなもの。
  今までのキングコングより大きくにゃってるにゃ。
  ハリウッド版ゴジラと戦わせるための措置だね。それでも足りないけど。
  青葉クルミを食べさせるとか?
  それじゃ「ウルトラQ」のゴローだよ! そういえばゴローの着ぐるみは「キングコング対ゴジラ」のキングコングの首をすげ替えたものだったっけ。
  縁があるにゃあ。
  対戦前の根回しか14年の「GODZILLA」に出てきた組織モナークが随所に顔を出していて同じ世界の話だって事を印象付けてる。
  東京オリンピックよりこっちの方が楽しみだにゃ。
  ウチもだよ。
 あと、ピーター・ジャクソン版では巨大なゴリラだったけど、「髑髏島の巨神」のキングコングはゴリラではなく猿人なんだね。常に直立歩行で、ナックルウォークはしない。既知の生物が巨大になっただけではないって事だね。
  それもやっぱりゴジラとの対戦を意識しての事かにゃ?
  だと思うよ。でもあれじゃ大きすぎて人間とは絡みづらい。だから従来の「キングコング」が核にしていた“美女と野獣”的な要素は皆無に等しい。
  そんにゃ事にゃいにゃ。ヘリコプターの下敷きになっていた巨大水牛を助けようとしたのを見てから「髑髏島の巨神」のヒロインもキングコングにとって特別な存在ににゃっていたにゃ。
  どうだろう? ミケは特別というけど、ウチは変わった人間程度の認識なんじゃないかなぁ。
  でもキングコングは明らかにヒロインを守っていたににゃ。
  確かに。ただそれが過去作のような心境によるものか、ウチは疑問に思っている。
 この点、キングコングってゴジラとは好対照だよね。
 昭和ゴジラでは明らかにゴジラが子供を助けるシーンがあるけど、あれはシリーズを重ねるにつれヒーロー化した結果。最初のゴジラは足元の人間なんて気にもかけない超然とした存在なんだ。それはギャレス版ゴジラにも受け継がれている。
  でもゴールデンゲートブリッジやムートーとの戦いでは子供や主人公を助けてるにゃ。
  確かにミケのいう通りだけど、映画では結果的にゴジラが助けたように見えるよう描かれている。ゴジラが人間を意識しているかどうか、映画だけでは断言できないんだ。
 同じ神と見なされる存在でもゴジラは戦争や人間には制御できない自然の体現者であり、超越的な存在として描かれるキングコングはずっと身近な存在。
  自然の不思議って感じだにゃ。
  そう。巨大とはいえゴジラと違ってキングコングはウチら人類の延長線上にいるんだ。
  超能力とか持ってにゃいもんにゃ。
  だからこのままじゃゴジラとの対戦では分が悪い。というか勝負にならない。
 キングコングは米兵の銃弾を受けて血を流していたけどゴジラは至近距離で戦車の主砲を受けてもビクともしなかったからね。力の差は歴然。
  落雷を受けて帯電体質ににゃるから大丈夫にゃ。
  そりゃ昭和の話だよ!
 それはさておきエンドクレジットを最後まで観ないで帰っちゃった人がいたね。
  何も知らずににゃあ。もったいにゃい。
  マーベル作品みたいに次作への“フリ”があったんだよね。で、そこで出た壁画がどう見てもゴジラにラドンやモスラ、キングギドラ。
  次は「地上最大の決戦」だにゃ。

 ゴジラ続編記事

  三匹とも飛行怪獣なんだよね。戦闘シーンが似通っちゃわないか心配だな~。
  キングギドラは陸上でも戦えるにゃ!


  それにしても松竹は太っ腹だねえ。
  何でにゃ?
  だってゴジラって東宝のキャラ、それも看板キャラでしょ? 手放すと思う?
  確かにそうだにゃ。それじゃ「ゴジラ対キングコング」は……。
  譲歩しても共同配給だよね。
  松竹は東宝が配給する映画の宣伝をやっちゃったんだにゃ~。
  お気の毒様だね。


テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

tag : キングコング 髑髏島の巨神 ゴジラ ハリウッド

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