分身以上二重人格未満 「仮面ライダーエグゼイド」第14話「We’re 仮面ライダー」

 豊橋ミケ(以下猫) 今回は「仮面ライダーエグゼイド」の話だにゃ。
 九条小夜子(以下九) いや~、正直、またブログで取り上げるとは思ってなかったな~。
  おいおい。
  駄作とはいわないけど正直、「クウガ」や「アギト」、「555」と比べると……。
  平成初期と比べちゃ可哀そうにゃ。せめて昨年の「ゴースト」と比べるにゃ。
  その「ゴースト」だって1クールが終らないうちから着ぐるみの使いまわしはしなかったよ。
  う~ん、確かに。でもそれが駄目っていうにゃら「大怪獣バトル」以後のウルトラシリーズは全部駄目ってことににゃっちゃうにゃ。
  確かにミケの言う通りだね。でも敵キャラってスーパーヒーローもののもう一つの華じゃない? 「X」みたいに敬意をもって扱ってくれるのならいいけど、ライダーの場合、平成に限らず怪人の扱いが雑だから……。
  確かに再生怪人とか春の映画じゃ設定を無視した使われ方してるもんにゃあ。
  コラボスバグスターが連続して出てきた時は平成の「マシンマン」か「サイバーコップ」かと思ったよ。
  何で?
  あれも同じ敵キャラに多少のかぶせ物をして使いまわしていたからよ。まさか1クールが終らないうちから敵キャラの使いまわしが始まるとは思わなかったな~。
  が、「鎧武」もそうだったにゃ。
  うん、「エグゼイド」も「鎧武」もライダーが多かったね。でも「龍騎」や「カブト」も登場ライダーは多かったけど、「エグゼイド」や「鎧武」よりは怪人は多彩だったよ。
  相当予算が苦しいんだにゃ。

  第14話「We‘re 仮面ライダー」のキモは何といっても前回ラストで登場したエグゼイドの新ヴァージョンダブルアクションゲーマーレベルXX。
  分身して戦うってのが斬新だにゃ。
  「仮面ライダー龍騎」のトリックベントがあるよ。
  あ、ディケイドもそれで分身してたにゃ。
  他にも「仮面ライダー剣」のギャレンがジェミニのラウズカードで分身して行為激してたよ。
  にゃーんだ、平成ライダー史上初ってわけじゃにゃいんだにゃ。
  いや、ミケ、そうじゃないのよ。同じ分身でもダブルアクションゲーマーレベルXXとトリックベントやジェミニは違うのよ。
  え、どこが?
  ジェミニやトリックベントは忍者漫画の分身の術の様なものだったじゃない?
 目くらましではないけど、分身は本体と見分けがつかず、人格も持っていなかった。
  そりゃ分身だからにゃ。本体と違ってたら……あ!
  わかった? ダブルアクションゲーマーレベルXXの場合、あっちが分身でこっちが本体っていえるものじゃないのよ。身体の色がオレンジの方をR、ブルーの方をLって呼ぶけど、一目でわかるような配色の上、性格も異なっている。
  永夢がゲーム中とそれ以外で性格が変わるけど、ダブルアクションゲーマ レベルXXはRがゲーム中、Lがいつもの永夢の性格を引き受けてるにゃ。
  これに関しては花家大我を永夢にぶつけようと彼をたきつけている西馬ニコが興味深い事を言っていたね。
  確か、前は一人称がボクじゃにゃかったとか……。
  ウチは一人称がボクの永夢を本来の人格と思っていたけど、もしかしたらゲーム中の人格の方が本来の人格なのかもしれない。
  永夢って二重人格にゃの?
  初めてダブルアクションゲーマーレベルXXに変身した時、意見が一致せずもめている間にゲンムやアランブラバグスターに逃げられてしまったのを見るとそう思っちゃうよね。でもボクの永夢やオレの永夢には記憶の欠落は見られない。共有しているように見える。
 それに別人のように見えるけど二重人格ものによくある既出の人格に対して正反対な要素を持っていない。
  厳密には二重人格じゃにゃい?
  ウチはそう思うな。もっともこれからそういうエピソードが出てくるのかもしれないけど。
 よく似たキャラに「ライダー大戦」に出てきた仮面ライダーWのサイクロンサイクロンとジョーカージョーカーがいるけど、あれは二人で一つの身体を持ったWをディケイドが二人に分けたものだからウチはダブルアクションゲーマーレベルXXとは異なると思ってる。
  サイクロンサイクロンとジョーカージョーカーはイレギュラーだけどダブルアクションゲーマーレベルXXはレギュラーだにゃ。その点では斬新だにゃ。
  いや、だから違うんだって……。
 ま、いいや。
 最後はダブルアクションゲーマーレベルXXの必殺技でアランブラバグスターを粉砕!
  やりすぎって自覚してるところがおかしいにゃ。
  「アギト」や「555」の頃は強化フォームがあっても必要がなければ使わなかった。でもかなり前から一度出た強化フォームは相手が格下でも使うようになっちゃったんだよね。それに対する皮肉かもね。
  これも斬新だにゃ。
  そういえばエクゼイドが貴利矢から託された爆走バイクガシャットを使うシーンがあったけど、惜しかったね。
  惜しい?
  何故かいきなりバイクが出てきてるでしょ?
  そういえば変だにゃ。仮面ライダーレーザーってレベル2でバイクに変身するのに。
  他の仮面ライダーレーザー以外が使う場合はバイクを召喚するのかもしれないけどね。残念だなぁ。ウチはてっきりダブルアクションゲーマーレベルXXに変身して一方がバイクになり、一方がそれに乗るんだと思ってたんだ。そのためのダブルアクションゲーマーレベルXXだとも思ってた。
  にゃるほど。それにゃら後でさらなる強化フォームが出てきてもダブルアクションゲーマーレベルXXは使い道があるから出続けられるにゃ。
  去年の「旧装備救済回!? 『仮面ライダーゴースト』第38話『復活! 英雄の魂!』」でもいったけど、強化フォームが出たらその前のフォームは実質お役御免になっちゃうからね。
  もったいにゃかったにゃあ。

  惜しいといえば今回に限った事じゃないけど話の展開が強引というか雑というか。
 最初は貴利矢の仇を討つか、患者を救うためにバグスターを倒すかで意見が割れていたけど最後は共闘してバグスターを倒し、ゲンムを圧倒した。
  よかったじゃにゃいか。
  それで終わるのはいいのよ。ただそれに至る過程が弱くないかってウチはいってるの。前回、貴利矢の死を引きずって冷静さを欠いていたのに、今回は飛彩を説得する程冷静さを取り戻している。医師の使命感だけじゃ弱いと思うんだよね。何かもう一つエピソードを挟んで欲しかったな。
  あたしが惜しいと思うのは予告だにゃ。
  予告?
  花家大我が永夢の血を採取してたにゃ。
  ああ、ダブルアクションゲーマーレベルXXは明らかに異常だからね。当然じゃない?
  永夢の血液に何があるのかにゃ? って思ってたら予告で永夢はゲーム病ってネタバレしてたにゃ。
  あー、確かにあれはやめてほしかったな~。観てみたら違ってましたって
可能性はあるけどさ。
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おいでよ かわうその森 「アラスカの恐怖『魔の三角地帯』 『カワウソ人間クシュタカ』」(加筆しました)

  九条小夜子(以下九) だいぶ時間が経っちゃったけど、16年の3月下旬から4月上旬にかけてヒストリーチャンネルで「アラスカの恐怖 『魔の三角地帯』」って番組が放送されてたんだ。
 豊橋ミケ(以下猫) アラスカ州の中でも特に行方不明者の多い地域があるにゃ。
  番組の冒頭のナレーションを信じるなら20年の間に6万人以上が失踪していて、超常現象がその原因だと信じている人がいるんだって。
  番組じゃそこを魔の三角地帯って呼んでるにゃ。
  バミューダの他にもタイとミャンマーとラオス日本近海と危険な三角地帯ってそこら中にあるんだね。
  ゴールデントライアングルは意味が違うようにゃ……。
 毎回冒頭で行方不明者とその原因と思われる超常現象を紹介してたにゃ。
  中にはそれ、ただの遭難じゃね? って思うのもあったけどね。
  ……。
 その超常現象を元警官のジャックスと超常現象の専門家ケン、アラスカの民間伝承に詳しいトミーの三人が調査する内容で、全13回だったにゃ。
  早い話、アラスカの川口浩探検隊だね。
  一度も真相にたどりつけにゃかったにゃ。
  それはまぁこの手の番組の常って事で。
 他の二人が早い時点で行方不明の原因は超常現象だと考えているのに対し、ジャックスは元警官だけに懐疑的な姿勢を見せる。
  それも前半だけにゃ。後半になる頃にはいつの間にか他の二人と同じように超常現象のせいだって思うようになってるにゃ。
  これまたこの種の番組の常で彼らが追うUMAは行方不明の原因と目されるだけあってどれも危険な生き物ばかり。
  にゃのに誰も銃を持って行かにゃい。
  元警官のジャックスでさえね。
 第2回のヘアリーマンっていう猿人系UMAを追った時、ケンは捕食動物はこの音にひきつけられると言って捕えられた小動物の声をドヤ顔で流していた。本当にヘアリーマンが来たらどうするつもりだ、ケン?
  それってやっぱりいにゃいって……。
  その先をいうのは野暮だよ、ミケ。
 ちなみにこのヘアリーマン、目撃地点には必ず針葉樹があったんだって。UMAと植生を関連付けたのはこれが初めてかもね。
 ただ、一度も武器を持って行かなかったかというとそうじゃない。「巨大な猿」では吹き矢を、「巨大シロクマ」と「カワウソ人間クシュタカ」ではジャックスが銃を持って行った。
  実際に銃が画面に映ったのは「巨大シロクマ」だけだけどにゃ。
  今回お話しするのは武装したと思える数少ないエピソードの一つ「カワウソ人間クシュタカ」。
 クシュタカというのはアラスカの先住民族トリンギット族に伝わる伝説の怪物で山中に潜み、カワウソと人間の両方の特徴を持ってるんだって。
  それにゃら日本にもいるにゃ。
  えっ?
  これだにゃ!

クシュタカ?

  そりゃ「伝染るんです」のかわうそだぁ!
 番組で紹介されていたのはこっち!

カワウソ人間クシュタカ

  いにゃい、これはいにゃいにゃ!
  そうだねえ、説得力無いねえ。
 とはいえ日本のかわうその話もしないではない。
  え?
  正直、ミケが日本のかわうその話をしてくれたので手間が省けたわ。
 このクシュタカ、人間をさらって仲間に変えるなどUMAというよりは妖怪や妖精のようなことをする。さらに人間に変身して人をおびき寄せることもあるという。
  思い出したにゃ。確か山でゴミ拾いのボランティアをしていたら一緒に参加していた友人が、こっちにゴミがたくさんあるから手伝ってくれって声をかけて……って目撃談が紹介されてたにゃ。
  そうそう。おまけにクシュタカは犬に弱い。ミケが挙げた目撃談ではたまたま通りがかった女性が連れていた犬が吠えた。目撃者が一瞬だけ犬の方を向いて再び友人がいた所を見たら友人の姿は無く、毛むくじゃらの生き物が逃げていったたんだって。
 これってUMAの目撃談っていうよりきつねやたぬきが人を化かす日本の民話っぽくない?
  そっくりだにゃ!!
  驚くのはまだ早い。きつねやたぬきほどメジャーじゃないけどかわうそも人を化かすと伝えられているのよ。
  あ、「怪談新耳袋」にそんにゃ話があったにゃ。
  第六夜の「かぶそ」だよ。
  それってまさか……。
  確かに不思議な一致だけど日本のかわうそ伝承がアラスカに伝わったとか、その逆があったとは思えない。
 世界各地に龍の伝承があるように接点の無いはずの地域によく似た話が伝わっていることがある。
 例えばスコットランドにはアザラシの中に人間によく似た姿の妖精が入っているっていい伝えがある。
  セルキーだにゃ。
  セルキーの一人がアザラシの皮を脱いで陸上で休んでいた。その間に人間の漁師が皮を隠し、それをネタに結婚を迫った。でもセルキーは隠していた皮を見つけ出し、漁師の元から去ってしまうって話があるんだ。これって……。
  天女の羽衣だにゃ。
  他にもきつねは日本だけでなく西欧でも賢いってイメージがある。でも全く同じってわけじゃない。稲荷明神や荼枳尼天などのように日本のきつねの中には神聖視されているものがあるけどイソップ童話などに見られるように西欧はずる賢いって感じであまり印象はよくない。
  でも西洋じゃ動物が人間に変身したり、人間を化かすって話は聞いたことがにゃいにゃ。
  確かに少ないと思う。でもケルピーって水棲の馬の妖怪はハンサムな男性に変身して人間の女性に近づくと伝えられている。皆無じゃないんだ。逆に日本で馬の妖怪が人を化かすって話はないでしょ?
 もちろん伝播したケースもあるでしょう。でも似た話があるからって安易に結び付けるのはどうかと思うな。
  だんだんかわうそから離れていってるけどどうまとめるのかにゃ?
  そうねぇ……………………。
  小夜ちゃん?
  昔、ドン・R・スミサナって人が「America:Land of Rising Sun」って本を書いた。
  にゃんで英語にゃの?
  そこがミソだからよ。
 その本でドン・R・スミサナは、テキサスは敵刺す、オハイオはおはようといった具合に音が似てるからってだけで日本語はネイティブ・アメリカンの言語からできた=日本人はネイティブアメリカンの子孫だと主張してるのよ。
  ……それ、今回の話と関係にゃいんじゃ?
  うーん、確かに強引かもしれない。でも「America:Land of Rising Sun」には本そのものよりも凄い逸話があるのよ。
 何と「ネイティブ・アメリカンが証明した 古代、アメリカは日本だった!」ってタイトルで1992年に徳間書店から出版されたの。
  え? 日本人はネイティブ・アメリカンの子孫って話じゃにゃかったの?
  「America:Land of Rising Sun」ではね。
 どうして真逆の邦題になってしまったのか? 翻訳した吉田信啓は他にも「超古代、日本語が地球共通語だった!:岩刻文字が明かした古代"ワン・ワールド"の謎」や共著だけど「日本の神が世界指令となる」といった本を書いている。日本人至上主義者っていっちゃうと大げさだけど、そういう傾向のある人なんだ。
 今となっては嘘のような話だけどバブル経済の頃、SONYがコロンビア映画を買収したり、アメリカ中の不動産を買い漁ったりしてたんだ。アメリカ人は猛反発し、日本製品のボイコットが起きた。
 吉田信啓は「ネイティブ・アメリカンが証明した 古代、アメリカは日本だった!」の中でアメリカはかつて日本だったんだから買い戻したにすぎないって趣旨の事を書いて日本を擁護してたんだよ。
  だから“超訳”しちゃった?
  そうでなければ史上最大級の誤訳になるよね。
 音が似てるってだけで日本人はネイティブ・アメリカンの子孫だっていっちゃうドン・R・スミサナもひどいけど自分の思想に合わせるために真逆の内容に訳しちゃった吉田信啓は輪をかけてひどい。
  吉田信啓は韓国人を笑えにゃいにゃ。
  起源だから偉いってことにはならないしね。もしそうなら世界で一番偉いのはアフリカの黒人でしょ?
  全人類の起源だもんにゃ。
  もちろんパイオニアの試行錯誤や勇気は評価されるべきだと思うけどね。
 「America:Land of Rising Sun」と「ネイティブ・アメリカンが証明した 古代、アメリカは日本だった!」は極端な例だけど、「万葉集の謎」など似たような“フライング”はある。
 くり返すけど接点の無い文化圏でよく似たものが存在するっていうのはよくある事なんだ。中には本当につながりがあるのかもしれないけど、たいていは偶然の一致にすぎない。素人が手を出せば恥をかくだけだよ。
 クシュタカも同じ。日本人とトリンギット族がかわうそから同じものを見出したかもしれないけど、だからといってどっちがオリジンかって話には意味が無い。
 偶然の一致に対してはウチら一般人は不思議だな~って思って楽しめばいいし、それが礼儀だと思うんだ。
  下手な理屈をつければ恥をかくだけだにゃ。
  それだけですめばいいけどね。どっちかに優劣をつけようとするといろんな意味でおかしな事になる。
  クシュタカよりもやぶへびの方が怖いかもにゃ。


テーマ : 雑学・情報
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tag : かわうそ クシュタカ UMA 妖怪 妖精 きつね たぬき 日本 アラスカ

リアルだけどリアルじゃない 「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」

 九条小夜子(以下九)豊橋ミケ(以下猫) 新年明けましておめでとうございます。
 旧年中は当ブログを閲覧していただき誠に有難うございました。本年もよろしくお願いいたします。
  さて、ベスト&ワーストの話なんだけど……。
  おいおい! 一昨日やったばかりだにゃ!
  もちろん今2017年のベスト&ワーストを決めようっていうんじゃないよ。今回のお題の映画「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」を去年観ていたらベストの内容が変わっていたんじゃないかって思ってさ。
  そんにゃによかったの?
  うん。ウチは2016年には間に合わなかったけど、映画誌のベスト10には入るんじゃないかな。
 昨年紹介した「ドローン・オブ・ウォー」と同じくドローンを扱った映画なんだよね。
 「ドローン・オブ・ウォー」がドローンの操縦士の視点で進むのに対し、「アイ・イン。ザ・スカイ」はドローンに指示を出す軍上層部を中心にした群像劇になっている。
 「ドローン・オブ・ウォー」では一エピソードに過ぎなかった民間人がまきぞえになるケースだけで一本の映画にしてしまった点も好対照だね。
 米英が共同でケニアのある地域にイスラム過激派のアジトに大物が潜伏している事を突き止める。最初は捕獲作戦だったんだけどそこは武装勢力が支配している場所で、部隊を送り込む事は不可能。さらに潜伏先には自爆テロに使う爆弾とその志願者もいた。
  何とかしにゃいと大変だにゃ。
  そう、放っておけば多数の死者が出るかもしれない。そこで当初は空からの情報収集に使っていたドローンで空爆しようとするんだけど、折悪しくアジトの前で少女がパンを売り始めちゃう。
  空爆って事は……。
  うん、少女がまきぞえになる可能性が高い。だから少女一人を救って自爆テロを許すか、一人の少女を犠牲にしてでも自爆テロを防ぐかで上層部は議論になる。人道的な問題だけじゃない。武装勢力は少女の死を利用して米英の非道さをアピールする事も考えられる。その逆もありえる。
  その逆?
  米英が自爆テロの死者を利用して武装勢力に対する攻撃を正当化するのよ。いかに相手のイメージをダウンさせるかって事も入ってくるの。
 結局、彼らだけでは結論を出せず、イギリスの外務相やアメリカの国務長官らの判断を仰ぐの。
  にゃんか「シン・ゴジラ」みたいだにゃ。
  前半が保身や法律に縛られ迅速な行動ができない日本の縦割り行政を風刺しているって話題になったけど実はイギリスもそんなに変わらないみたい(笑)。むしろ少女が犠牲になるかもと言われても躊躇せず攻撃を支持するアメリカの方が怖い。
 少女を助けるべく現地の協力者にパンを買い占めさせるなど手は尽くすものの失敗に終ってしまう。さらにアジト内に潜り込ませていたカナブン型ドローンのバッテリーが切れて中の様子がわからなくなってしまう。
  カナブン型ドローン?
  本当に出てくるのよ。カナブンそっくりの外見でカメラが仕込んであって、虫と同じく羽根ではばたいて飛ぶの。携帯ゲーム機の改造か、それを模したコントローラーで操縦するんだ。他にもハチドリ型のドローンも出てたよ。
  ……それ本当にあるの?
  正直、ウチも本当かなぁって思う。でもまぁ仮に嘘だとしても映画の価値を下げるわけじゃない。
  スパイ映画にゃんか「ねえよ、それ、絶対!」ってアイテムが出てくるもんにゃ。
  荒唐無稽なスパイアクションと「アイ・イン・ザ・スカイ」を同列に並べるのもどうかと思うけどミケのいいたい事はわかる。
 着弾地点をずらし、少女が爆発に巻き込まれる確率を45%にまで抑え、ついに空爆実行!
  それから?
  続きはウェブで!
  いや、これがウェブだから。
  さすがにウチがここから先をいっちゃまずいでしょ。一応上の方にネタバレありって書いてあるとしてもさ。
ウチの紹介だと小難しい政治劇みたいに感じられるかもしれないけど実際はスパイ映画みたいなシチュエーションが多くてサスペンスとしても楽しめるんだ。
  「ドローン・オブ・ウォー」よりはかなりエンタメ色が強いんだにゃ。
  そういう事。
 ラスト、武装勢力の男達はある事をするためにジープから機関銃を外す。米英の軍人達がした事と好対照になっていて興味深かった。また英軍の将軍の一人が孫に贈るおもちゃを買うエピソードが冒頭とラストに挿入されていて、これまた強く印象に残った。
  小夜ちゃんの話をきいていると「ドローン・オブ・ザ・ウォー」と作劇こそ違うけどドローンの活躍する現代の戦場をリアルに切り取っているにゃ。でもドローンの是非にまでは踏み込んでいにゃいように見えるにゃ。
  そう、その通り。ドローンの是非という点では「アイ・イン・ザ・スカイ」はもはや当たり前のものになっている感があって、「ドローン・オブ・ウォー」の方が踏み込んでいるように感じられた。あの時にもいったけど自動化の流れはもう止めようがないし、そもそもドローンが無ければ自爆テロはおろか過激派幹部がいる事も特定できなかった。当然自爆テロは阻止できないわけで、その場合は多くの死者が出ていたはず。ウチのドローンに対する考えは「ドローン・オブ・ウォー」の時と変わってない。
  確かに地上部隊じゃアジトに近づく前に逃げられちゃうだろうにゃあ。
  「アイ・イン・ザ・スカイ」はドローンによる戦争を描いているけどそれ以上でも以下でもない。映画の面白さでは「アイ・イン・ザ・スカイ」の方が上だと思うけど、ドローン戦争の現実って点じゃ「ドローン・オブ・ウォー」の方が上かもしれない。
  え、何で?
  だってさ、過去に報道されたドローンによる誤爆の記事を思い出してみてよ。とても民間人をまきこむことをためらっているようには見えないでしょ?
  ちょっと怖いにゃ。
  ちょっとどころじゃないよ。組織からの支援や支持を受けていないホームグロウンのテロリストがいる事を考えると「アイ・イン・ザ・スカイ」は遠い国の話とは限らないかもしれないよ。
  ち、地上部隊があるにゃ……。


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怪獣よりも危険な「シン・ゴジラ」!? 2016年のベスト&ワースト

 九条小夜子(以下九) 今年も残すところわずかとなりました。
 豊橋ミケ(以下猫) もうわずかっていうレベルじゃにゃいにゃ! あと数分で2017年にゃ!
  それでもまだ2016年だからウチは間違った事いってないよ。
  小夜ちゃん、落ち着きすぎにゃ!
  何いってんの、ミケ。慌てたらミスを招いて時間をロスしちゃうじゃない。こういう時こそ落ち着かなきゃだよ。
  そういう事じゃにゃいにゃ!
  というわけで毎年恒例のベスト&ワースト、始まりまーす。
  はぁはぁ、まずはワースト10からにゃ。


 1 インデペンデンス・デイ:リサージェンス
 2 Mr.ホームズ 名探偵最後の事件
 3 超高速! 参勤交代リターンズ
 4 仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー
 5 バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生
 6 10 クローバーフィールド・レーン
 7 X-MEN アポカリプス
 8 アズミ・ハルコは行方不明
 9 ファインディング・ドリー
 10 シビル・ウォー キャプテン・アメリカ

 スーパーヒーローものが多いにゃあ……。
  確かにその通りだけど、ウチは決してスーパーヒーローものが嫌いなわけじゃないよ。むしろその逆で好きだよ。これはいわゆる愛の鞭ってやつね!
  でも9位の「ファインディング・ドリー」や10位の「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」は面白かったじゃにゃいか。
  ウチもそう思うよ。「ファインディング・ドリー」はピクサーが志を失ったんじゃないかって気がしたから。
  志?
  これは第一作の「トイ・ストーリー」の頃からいわれている事だけどピクサーの映画って作り手の事情を反映しているのね。前作の「ファインディング・ニモ」は子離れの話だったし。「モンスターズ・インク」は子供とどう向き合うか、その困惑をサリーとマイクに託して描いていた。でも「ファインディング・ドリー」にはそういたものは見られない。面白かったけどただのドタバタになっていた。だから苦言を呈するつもりであえてワーストに入れたんだ。
 「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」をワーストに入れたのも同じような理由。スーパーヒーローは政府の監視下に置かれるべきかというテーマをめぐる葛藤が話の核だったのに後半は復讐劇にスライドしてしまい、前述のテーマをうやむやにしてしまった。難しいとは思うし、正解なんてないのかもしれない。それでもウチは作り手側の考えた答えを知りたかった。
  「X-MEN アポカリプス」もそうにゃの?
  そうだね。ストーリーにひねりがなくて単調だったり、マグニートーの怒りがあれで鎮まるのか疑問だった事も大きいけど何より今までの「X-MEN」は差別をめぐる物語だったのに「アポカリプス」は強大な敵を倒すだけの話でしかなかった。これがワースト入りの一番の理由だね。家族を奪われたマグニートーの心情を丁寧に描いていればワーストには入れなかったと思う。
  にゃるほど。ワーストというよりは“もっと頑張りましょう”だにゃ。
  「仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー」と「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」は別だよ。この二作は本当にひどかった。
  「仮面ライダー平成ジェネレーションズ」は脚本がメチャクチャすぎたもんにゃあ。
  ゴーストが再び変身できるようになるくだりなんかホント強引だったね。
 鎧武が来るまで泊進ノ介が変身できない等レジェンドライダーに気を配っていたのには好感が持てるけど、その配慮を敵キャラにも向けてほしかった。
  何でパックマンにゃのか、何で清宮が狙われたのか全くわかんにゃいもんにゃあ。
  「ピクセル」のパクリ?
 「バットマン対スーパーマン」も脚本がひどかった。
  レックス・ルーサー、何考えてるのかわからにゃいにゃあ。
  コンプレックスがあるのはわかるんだけどね……。宇宙からの敵を示唆するシーンがあるけど、「アベンジャーズ」が第一作でやった事をもったいぶってやられてもね……。
 原作コミックを知らないとわからないシーンが多く、「マン・オブ・スティール」を観ただけじゃ完全に理解することはできない。正直、アメコミが普及しているとはいえない日本じゃ敷居の高い映画だと思う。
何でそんなシーンが多いのかっていうとおそらく続編への伏線だと思う。でも伏線が多すぎて本筋の理解を妨げているのは問題だよ。
 「ウルトラマンタロウ」や「ガメラ3 邪神覚醒」と同じくスーパーヒーローの戦いに巻き込まれた一般市民の被害って問題を取り入れた点は評価するけど、活かし切れていない。
  市民の反応ってクライマックスには関係にゃいもんにゃあ。
  その点もマイナスだね。
 6位の「10 クローバーフィールド・レーン」はにもいったけど、宣伝が映画自体を台なしにした前代未聞のケース。
  映画ファンにゃらタイトルの時点でおやっ? と思ったろうにゃ。
  それでもあの予告とポスターはないよ。サスペンスも何もあったもんじゃない。
 8位の「アズミ・ハルコは行方不明」は逆ミソジニー映画。オチのつけ方もそれでいいの?  って思っちゃう。
  地方の現実を容赦なく描いた点はいいと思うにゃ。
  3位の「超高速! 参勤交代リターンズ」は変に深刻にしちゃって前作の味を殺してしまった。
  駄目にゃテコ入れの典型だにゃ。
  今回ワースト10には入れなかったけど「グランドイリュージョン2 見破られたトリック」も前作の味を壊していた。
 第2位の「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」は肝心の事件がしょぼくて、とてもホームズが手こずる事件とは思えない。それに日本の描写が微妙なうえに無くてもストーリーが成り立ってしまう。
  栄えある第1位「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」は内容ゼロ、誰もが認める駄作だにゃ。
  前作は初めての宇宙人による侵略ってことで描写にインパクトがあったけど、「リサージェンス」では宇宙人の存在は既知のものとなっている。なのに前作の拡大再生産みたいな描写なのでインパクトは無し! 「映画秘宝」のトホホの上位に入るんじゃないかな。
 さて次はベスト10の発表だよ。


 1 残穢 住んではいけない部屋
 2 シン・ゴジラ
 3 トランボ ハリウッドに最も嫌われた男
 4 ナイトクローラー
 5 PK
 6 野火
 7 機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY
 8 日本で一番悪いヤツら
 9 64 ロクヨン 前後編
 10 ウォークラフト

  あれ、「シン・ゴジラ」が1位じゃにゃいんだ?
  でも2位だよ。決して低く評価しているわけじゃない。
 観る前はツイッターに書いた通りの不安を抱えていた。


  一般市民の視点が抜け落ちているってとこは当たってたにゃ。
  だけど「シン・ゴジラ」の場合は欠点にはなっていない。04年の「ゴジラファイナルウォーズ」で核をいい換えていたから心配していたけど、杞憂どころかむしろ核を前面に押し出していた。
  どう見ても今度のゴジラは東日本大震災や福島第一原発事故をモチーフにしてるもんにゃあ。
  だからといって反原発映画かというとそうとはいえない。もしそうならゴジラがまき散らした放射性物質の半減期がわずか数か月なんて描写はしないはずだからね。
  そういえば放射線が出ている事は描写されているけど被爆の描写は無かったにゃあ。
  核に限らずあらゆる論点に対し「シン・ゴジラ」は神経質なくらい中立であろうと努めている。
 前半部は日本の安全保障の問題点を浮き彫りにしていて緊急事態条項は必要という人達を喜ばせていたけど、第四形態になったゴジラに対し自衛隊は無力だった。それ以上に問題視すべきな事にアメリカは日本政府に何の相談も無く爆撃機を飛ばすわ、東京を核攻撃しようとするわで、アメリカの前には日本政府の意思なんて無いも同然だよ。「シン・ゴジラ」の日本はパートナーではなく属国として描かれているんだ。その事に気づいている人って結構少ないのかも知れないね。
 既に多くの人が指摘している事だけど「シン・ゴジラ」は前半と後半で大きく異なる。その境界線といえるシーンある。
 米軍の攻撃で初めてゴジラがダメージを受ける。それに応じてようやく熱線を放つんだ。ちょっと話はそれるけどなかなか熱線を出さないから「シン・ゴジラ」のゴジラは熱線を出さないのかって不安になってたんだ。
  超巨大とはいえ生物だもんにゃ。
  そう。だからリアルを追求した結果熱線はオミットってありうるとそれまで思ってたんだよ。
 この熱線、待たされた甲斐がある斬新なものだった。
 吐くまでのプロセスや収束してレーザーのようになるあたり「ナウシカ」の巨神兵を思わせるね。
  背中や尻尾からも出るのは「シン・ゴジラ」のオリジナルにゃ。
  熱線が避難のために首相をはじめとする閣僚全員を乗せていたヘリコプターを直撃し、内閣は全滅。その結果、内閣は刷新され、主人公矢口蘭堂の権限が拡大し、事を進め易くなった。
 これも多くの人が指摘している事だけど同じ乗り物に内閣全員が乗るなんて事は起こりえない。映画のような事態を避けるために分散させるものなんだ。
 内閣が健在じゃ矢口蘭堂は思うように動けない。だからリアルじゃないとわかったうえでこのような展開にしたんだと思う。
 前半の内閣が日本の現状をリアルに反映させたものなら、後半の内閣は理想に近い日本といえる。
  でもそれって裏を返せばありえにゃいってことじゃにゃいの?
  そう! 先もいった通り内閣全員が同じ乗り物に乗るなんてことはありないのだから迅速に行動する政府も嘘ってことになる。
 「シン・ゴジラ」が抱えるこの問題に対し一番厳しいのは「Real Sound」の宮台真司のコラムだと思う。そして「現代ビジネス」の辻田真佐憲の「シン・ゴジラ」評
「挙国一致し世界に実力を見せつける日本というのもまた虚構なのではないか。願望の発露といってもよい。それゆえ、本作の内容を正確に反映するならば、『願望(ニッポン)対虚構(ゴジラ)。』とでもいうべきであろう」と的確な指摘をしている。
 正直、庵野監督の意図はわからない。
  興業的成功を狙った可能性もあるにゃ。
  でもゴジラが熱線を放って内閣を全滅させた瞬間に映画は「現実(ニッポン)」対虚構(ゴジラ)」から「願望(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」にシフトしたのだけは確か。
 興行収入を考えればこの変化は正しかったんだと思う。
 最近、日本スゴイって内容の書籍や番組がヒットしているけど、それって日本人が自信を無くしている事の反証だよね。「シン・ゴジラ」の後半はリアルな対怪獣シミュレーションから自信を喪失した日本人を慰撫するものへと変わった。だからこそ大ヒットしたんだ。
  それっていけにゃい事にゃの?
  声高に非難される事ではないだろうね。でもいい事でもない。ウチが挙げた「シン・ゴジラ」論はどちらもその点を問題視している。いや、宮台真司は危険視していて、その理由にはウチも一理あると思う。
 ウチは徹頭徹尾リアルな対ゴジラ映画を観たかった。そんな映画だったらヒットしなかったかもしれないけど。
 こうした理由で第1位ではなく第2位になったんだ。瑕疵があるとはいえそれでも第2位なんだから否定しているわけじゃないんだよ。
 「シン・ゴジラ」を抑えて第1位に輝いたのは「残穢 住んではいけない部屋」。怪現象の原因をつきとめるミステリー的な筋運びのホラー映画だけど、同時に日本の都市論にもなっているのが凄い。
 第3位の「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」については「20世紀の魔女狩り」で、第10位の「ウォークラフト」は「ダンカン・ジョーンズのオーク革命」で取り上げたので割愛するね。
  「ウォークラフト」も完結してにゃいけど「バットマンVSスーパーマン」よりはマシにゃ。
  第4位の「ナイトクローラー」はスクープ映像を追うビデオジャーナリストを通じて現代メディアの病理を描いたピカレスクロマン。
  以外にゃのはインド映画の「PK」がランクインしてる点だにゃ。
  インド映画の御多分に漏れず上映時間は長かったけど、それを感じさせなかった。何より宗教否定ともいえる展開をよくインドでやれたなって思う。
 主人公PKは実は宇宙人。彼は地球に来て早々、宇宙船のコントロール装置を盗まれてしまった。コントロール装置を探すうちに彼はいろいろな宗教に出会い、信者の話を聞くうちに神様を見つけて、彼に相談すればコントローる装置を取り戻せると思い込む。PKの信仰心皆無の神様探しはやがて宗教の矛盾を指摘する運動に発展するんだよ。観ていてワクワクしたね。
 第6位の「野火」は大岡正平の小説を塚本晋也が映画化。去年の公開作品だけどウチが観たのは今年だったので。戦場の理不尽に追い詰められた男達の狂気に圧倒されたよ。お勧めを超えて必見の一本だね。
  「ナイトクローラー」も去年の映画だにゃ。
  うん、去年の映画だった、観なかったのは迂闊だったよ。
 第7位は「機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY」も戦場の狂気を描いたアニメだった。元は一話15分のネット配信アニメで、全4話。それを劇場用に再編集したもの。正直、そんな尺であの原作を描けるのか不安だったんだけど、観たらびっくり。原作以上の出来栄えだった。
 ラスト、サイコザクを失ったダリル・ローレンツがゲルググに乗って戦うというアニメオリジナルのシーンがある。サイコミュで自分の手足のように動かせるサイコザクの後に非サイコミュ機のゲルググに乗るダリルの表情は見もの。このシーンを加えたことで深みを増している。
 第8位は北海道県警の不祥事を描いた「日本で一番悪いヤツら」。実録物の傑作だよ。
本来は一つの作品として扱うべきではないんだろうけど第9位の「64 ロクヨン」は二つで一つの作品なので二つ合わせてのランクイン。骨太なストーリーがいい。
  ベストは邦画が6本を占めているにゃ。
  ウチらのベストに限らず今年は邦画が豊作だった。来年は新年早々「ドント・ブリーズ」「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」といった面白そうな映画が上映されるし、「スターウォーズ」のエピソード8や「メッセージ」、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」、「哭声 コクソン」などが控えているから洋画の巻き返しがあるかもね。
  楽しみだにゃ。
  今年はあんまり更新できなかったね。
  東京国際映画祭が遅れに遅れたのは毎年の事だけどにゃ。
  今年はやらないかも。
  堕落したにゃあ。
  決めた、それにしよう。
  え?
  来年の抱負だよ。
  更新を増やすのかにゃ?
  いや、東京国際映画祭のを年内にやる!
  駄目にゃん!
  何はともあれ後数分で2017年。
  今年は散々だったからにゃあ、来年はいい年であってほしいにゃ。
  本当だね。
 & それでは皆様、よいお年を。


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tag : ゴジラ 映画 作品 2016

燃え尽きる前のろうそくの輝き? 米大統領選のドナルド・トランプ候補の勝利を受けて

 九条小夜子(以下九) 長い間物議を醸していた米大統領選がついに決着を迎えました。
 豊橋ミケ(以下猫) まさかドナルド・トランプが勝つとはにゃあ……。
  ウチはね、ヒラリー・クリントンが勝つって思ってた。だって黒人やヒスパニックがトランプに投票するとは思えないし、その数はアメリカの人口の半数に迫っている。彼らを除いた後に残る白人全てがトランプに投票するとも思わなかったから。
  でも実際は違ったにゃ。
  現時点ではどんな人達がトランプに投票したのかわからないけど、白人が圧倒的に多いと思う。でも白人の票だけで勝てたとは思えない。トランプに投票した非白人がいると考えるべきだよ。
 ウチは米大統領選を人種問題だけで考えていたんだね。でもそれは間違いだった。実際は現状への不満が人種問題を凌駕していたんだと思う。
  あと投票日直前にFBIがメール問題を蒸し返した事も大きいにゃ。
  確かにあれは痛かった。あれがなければクリントンが勝っていたかもしれない。
  クリントンにゃら従来路線の継続だけどトランプは違うっていうにゃあ。
  とはいえトランプ大統領一人の力でガラリと変わるとは思えない。オバマ大統領がオバマケアを成立させるのに難航したように米議会は大統領のいいなりにはならないからね。
 トランプ大統領の場合、反対勢力は民主党だけとは限らない。彼は予備選で共和党が推した候補を退けて本選に進んだ。その結果、共和党の思惑はおじゃんになってしまった。予備選でジェブ・ブッシュをボロクソにけなされた事で元大統領のブッシュ一族はトランプを敵視しているって話を聞いたことがある。10月に11年前の女性に関する卑猥な発言を撮った映像が流れた時は味方のはずの共和党からもバッシングされていた。
  共和党も敵ににゃるってこと?
  ウチはそう考えている。当面は面従腹背で騒ぎは起こさないだろうけど支持率がちょっとでも下がれば反旗を翻すだろうね。
  とはいっても大統領に当選したんだから支持率は滅多にゃ事では下がらにゃいんじゃにゃいの?
  はっきりいつとはいえないし、最低でも半年は安泰だと思うけど、ウチは結構早いと思う。だってトランプの公約ってメチャクチャなんだもん。
 よくいわれるのが不法移民対策でメキシコ国境に壁を作るってヤツ。その金をメキシコに出させるって言ってるけど、出すわけないじゃない。
 仮にアメリカが自力で壁を作ったとしてもそれで不法移民をシャットアウトできるとは思えない。既にメキシコとの国境地帯には麻薬密輸用のトンネルができているっていわれている。海路もある。第三国を経由することも考えられる。壁を作ってもそういったルートを持つ闇のブローカー等を富ませるだけだよ。むしろ問題は悪化するんじゃないかな?
 他にも法人税の最高税率を35%から15%に引き下げるという企業優遇減税と年収2万5千ドル未満の単身世帯と年収5万ドル未満の夫婦世帯の所得税免除という貧困層向けの減税をやるっていってたけど財源はどうするの?
  矛盾してるにゃ。
  矛盾してるのは税制だけじゃないよ。トランプはネットで中国を抑えるために東シナ海と南シナ海で米軍の影響力を強くするという一方で日本や韓国が駐留費用を全額払わないなら米軍を撤退させるともいっている。
  後者の方は有名だにゃ。
  日韓から米軍を撤退させたらどうやって中国を抑えるんだよ~。
  いきにゃり核戦争とか?
  さすがの中国もそりゃビビるわ。
  現実にはそんにゃ事100%にゃいけど……。
  トランプならやりそうなイメージがあるなぁ~。
  「天才バカボン」のおまわりさんみたいにゃ大統領だにゃあ。
  念のためいうけどウチらの勝手なイメージですから。
 ただオバマ大統領がもはやアメリカは世界の警察ではないって趣旨の発言をしている。長年の財政赤字を抱えるアメリカにとって海外への駐留費用が重荷になってるんだろうね。
  誰が大統領ににゃっても日本の負担は増えるってこと?
  長い目で見ればそうなると思ってる。トランプ大統領はそれを早めただけに過ぎないのかもしれないね。
  日本はどうするのかにゃあ。
  トランプが大統領になったからって日米同盟をやめるわけいにはいかない。いわれるままに金を出しても不思議じゃない。穴埋めに社会保障や少子化対策費が削られると思うよ。
  五輪にゃんかやってる場合じゃにゃいにゃ。
  さらに悪い未来も想像できる。トランプは「アメリカが攻撃されても日本は何もしないが、日本が攻撃されたらアメリカは駆けつけなければならず、不公平だ」って言っていた。安倍政権はこの発言を利用して自衛隊の活動範囲をさらに広げようとするかもしれない。改憲の圧力に使うことも考えられる。
  日本にとって何もいい事がにゃいにゃ。
  日本嫌いか? っていわれるくらいだからね。ビジネス界出身だから日本より中国との関係を重視するかもしれない。
  実際、最大の貿易相手国だもんにゃ。
  そうなると尖閣諸島問題は厄介なことになる。日本の肩を持てば対中ビジネスに悪影響を与えるのは必至だからね。かといって中国の好きにさせれば太平洋でのアメリカの影響力は下がる。天秤にかければ米軍、米議会は太平洋での影響力をとるだろうけど、トランプ大統領はどっちをとるやら……。
 多くの人が指摘している通り、これからアメリカは内向きになり、国外の事には関わらなくなるだろう。得をするのはロシアだろうね。
  ロシアのプーチン大統領をリスペクトしてたもんにゃ。
  アメリカがウクライナ問題から手を引くこともありうると思うし、アメリカが関与しないのならEU相手に強気に出られる。
 アメリカはシリアの反政府勢力を支持しているけど、トランプ大統領はそれを改めるかもしれない。対イスラム国との戦闘だけを考えるならそれもアリだけど、長い目で見れば中東におけるロシアの影響力を高める結果になる。
  アサド政権との関係にゃらロシアの方が強いもんにゃあ。
  アサド政権だってトランプ後の事を考えれば簡単には乗り換えられないよね。
  トランプの次の大統領が手のひらを返すかもしれにゃいもんにゃ。
  イスラム国をトランプは露骨に敵視しているけど、予算難を理由に日韓の駐留費負担増をいうなら派兵や空爆の拡大だって難しいはず。
  実際、派兵するとは言ってにゃいもんにゃ。
  非難するだけで行動しないって可能性もある。
  選挙運動中にイスラム教徒は皆イスラム国のテロリストみたいにゃ発言をしてるにゃ。これ、中東じゃ相当評判悪いんじゃにゃいかにゃ。
  強い反感を持たれていても不思議じゃない。トランプ大統領の中東外交は難航するだろうね。
  これもロシアの中東外交にプラスににゃるかにゃ?
  なるね。もっともオバマ政権の頃からイランとの関係修復で逆にサウジアラビアとの関係は冷え始めていたし、イスラエル和平にあまり積極的には見えなかった。アメリカの中東における影響力が低下したとしてもトランプ一人の責任にはできないかもね。
  中国はどうにゃるにゃ?
  勢いづくとは思うけどロシア程喜びはしないと思うよ。選挙運動中に中国に対しても厳しい事を言っていた記憶があるし。
  トランプは当選したら雇用を取り戻すっていってたにゃ。
  それが最大の勝因かもしれないけど、そんなことできるの? アメリカの企業は安い労働力を求めてメキシコや中国などのアジアに工場を移した。自発的にね。無理やりもっていかれたわけじゃない。まさかメキシコや中国よりも人件費を安くしようっていうの? 対抗して中国やメキシコも賃金を下げてくるかもしれない。雇用が戻っても賃金が世界最低じゃ意味ないんじゃない? 低賃金競争なんて多国籍企業しか得をしないよ。
  それが狙いかもしれにゃいにゃ。
  ビジネス界出身だもんね。ありうる話だ。
 NAFTAの再交渉をするとも言ってたけど、相手国にはどんなメリットがあるんだろう? 応じない可能性だってある。
  せっかく来た工場を手放すわけにゃいにゃ。
  ここでゴリ押しすればアメリカ離れを招く可能性だってある。それがトランプの言う強いアメリカの再生になるのかな? ウチは逆だと思う。
  移民排斥にも積極的だにゃ。
  シリア難民は入れないって明言してるもんね。移民政策は相当厳しくなると思う。自分達白人だって移民なのにね。
  矛盾してるにゃ。
  共和党や白人層は勝ったと思ってるかもしれないけど、ウチは逆で、ろうそくは燃え尽きる前に輝きが強くなるっていうじゃない? トランプ大統領の誕生はその輝きの始まりかもしれない。
  どういう事?
  ウチは町山智浩の影響もあって人種問題から今回の大統領選を考えていた。それが間違っていたのはご覧の通り。だからって人種問題は取るに足らないってわけじゃない。むしろ潜在的な影響力は高まったったんじゃないかな?
 アメリカの主流は白人だけど、その数は年々減っている。現在、半数近くまで減っていて、2050年台には非白人の方が多くなり、白人は多民族国家アメリカを構成する民族の一つに過ぎなくなると予想されている。それに備えて非白人の支持を得ることも考えなくてはならなくなってきた。だから共和党はヒスパニックの女性を妻にしている者を予備選の候補に立てたんだ。
  誰?
  マルコ・ルビオだったかな? ジェブ・ブッシュだったっけ? ごめん、忘れた。
 先にいった通りトランプによってその目論見は潰えた。今回の選挙結果を受け、共和党はなぁんだ人種問題なんて選挙には関係ないじゃないかって思ったかもしれない。
  事実、トランプが勝ったもんにゃ。
  でも50年頃には白人は多数派じゃなくなる。今回の勝利に慢心してたら共和党はそれに対する備えが遅れるだろうね。
  間に合わなければどうにゃるにゃ?
  即消滅はないと思うけど、二大政党の地位から転落するおそれはある。
 今回、共和党が推した候補は総崩れだった。一方の民主党もバーニー・サンダースが大躍進し、クリントンの立場を脅かした。
これは民主党や共和党の主流からアメリカの庶民の心が離れてるって事だと思う。将来、彼らの心をつかんだ第三の政党が台頭するかもしれない。民主党も共和党ももはや安泰とはいえない。でも負けた民主党はともかく共和党は勝利に目がくらみその事に気づけないかもしれない。そうなれば白人が多数派から転落した時、とって代わられるかもしれない。その危険性は民主党にもある。
  よくいう終りの始まりににゃるかもしれにゃいんだにゃあ。
  ウチはそう思ってる。
 トランプの政策は矛盾だらけで実現できるとは思えない。投票した人達の期待に応えられなければ支持はより強い非難に変わる。だからウチは二期目は無いって思ってる。
  日本はどうにゃるのかにゃあ。
  自立を促す可能性を指摘する人がいるけどウチは懐疑的。悪影響しか受けないと思ってる。
  いい事なしだにゃ。
  そうでもない。トランプがTPPに反対しているのは有名でしょ?
  オバマ大統領が任期中に批准しちゃうんじゃにゃいの?
  可能性はある。
 一度批准した条約を大統領が変わったからって反故にできるのかにゃ?
  ウチの知る限りではそういう例は無い。でもそんな事態にはならないんじゃないかな。既に米議会からも反対の声が挙がっているからね。確かアメリカの場合、議会の承認がなければ条約を批准できないんじゃなかったかな? 現職が辞めるのがわかっているうえに後任が反対しているんだから議会の承認って相当ハードルが高いと思う。
 TPPは多国籍企業に国を売り渡すも同然だからね。農作物だけの問題じゃない。医療も危機にさらされるし、海外から安い労働力が流れ込み、それとの競争で賃金がどんどん下がる可能性もある。ISDS条項で税金を多国籍企業に巻き上げられる事だって起こりうる。そこまでして輸出事業の便宜を図る必要ってあるの?
 トランプ大統領はTPPをぶっ壊してくれるかもしれない。もちろんトランプ後の大統領が再開させる懸念はあるけどね。
 TPPつぶしはトランプ大統領が行う唯一のいい事だよ。その日が来たら素直に感謝しよう!


テーマ : アメリカ大統領選挙戦
ジャンル : 政治・経済

tag : トランプ 大統領 アメリカ 共和党 ロシア

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